そして今回は、やちなびでも実食レポートを書かせていただいた「カフェふくろう」さんのオーナーを講師に招き、コーヒーのたて方教室が開かれました。

場所は八千代台駅から歩いて2〜3分の八千代商工会議所。普段利用することが無いので、市役所のような館内の雰囲気に少しドキドキしつつ、奥のエレベータで4階へ。
ここかしら?なんて迷う必要は全くありませんでした。というのも、扉が開いた瞬間、スタバかと思うくらいコーヒーの香りで一杯に!私は15時の最終回に参加しに来ましたが、既に13時から2回の講習が行われているので、こうしてすでに淹れられた沢山のコーヒーの香りが教室から漏れ漂ってくるわけです。

待合場所となっているエレベータ前のソファは、3回目に参加する市民の方々で満席!20名という定員をどの回も達する(むしろ超える)人気だと伺っていましたが、皆さん“商工やちよ(→ホームページはこちら)などで講習をチェックされていらした様子。こうした体験講習は、気軽に、しかも安く受講出来るとあって、毎回人気のようなんです。
このコーヒーいれ方教室だって、材料費も全て込みで200円!
ちなみに、参加者の年齢層ですが・・・割と高いように思えましたが、中には30代位の方もちらほらいらっしゃいますし、結構幅広い年代の方々が集まっている様子。それに、女性ばかりでなく、男性の方も思いのほか多い!

受付で参加費をお支払いし、講習用のテキストを受け取りました。ホチキスで閉じられてしっかりと枚数のある冊子・・・。“講師のお話を伺って、見本を真似しながらコーヒーを淹れるだけ”という軽いイメージで来てしまいましたが、この内容を見る限りは教科書のようです。まさか1時間の座学?!

前の回の片付けで少し時間は押されましたが、ほぼ予定通りに講習スタート!部屋の中はコンロや流しなどが付いたテーブルが4つほどレイアウトされていて、家庭科の教室のようです。“長テーブルで座学”をイメージしてしまった私は、少しホッ。やっぱり実践もやるのよね。
各テーブルを4〜6名が囲むように分かれたところで、早速本日の講師役を務める「カフェふくろう」オーナーの黒沢さんからご挨拶。
『本日は実際に抽出をしていただくことをメインに行って行きたいと思います。テーブルにはサーバーとペーパーを人数分ずつ、そしてコーヒー豆を“ブラジル”と“コロンビア スプレモ”という2種類を用意してありますが、どちらか一方のコーヒーを2杯分の分量を淹れていただきます。テーブル内で交換し合って、2種類の味を試飲してみてくださいね。さて、始める前に、淹れ方のご説明などをいたしますので、皆さん前へ集まってください。』

受付で配られたテキストとペンを片手に、講師の周りへと集まります。
そこでは、豆の特徴や抽出に使う器具についての簡単な説明、淹れる際の手順や注意事項などが紹介されました。
『本日使う2種類の豆ですが、ブラジルというのはちょっとビターチョコを思わせるようなとろみのある風味が、そしてコロンビアはナッツのような風味とグレープフルーツ系の酸味のある軽めなコーヒーという特徴をそれぞれ持ち合わせています。
今日はどちらもストレート豆ですから、ドリッパーには円錐形で内側にリブが付いた一つ穴の“ハリオ”を使用しましょう。ストレートは固有の甘みや酸味、苦味などの特徴がよく分かるように、抽出スピードの速いドリッパーが向いているんですよ。すっきりとキレの良い今回のコーヒーには、特にオススメのドリッパーです。
逆に、ブレンドを抽出する場合は小さな穴が3つ空いた“カリタ”というドリッパーがオススメです。これだと、抽出中の滞留時間が長くなりますから、それぞれの豆の特徴が引き出されやすくなるわけです。』
皆さん、時折「へぇー!」と声をあげながら、真剣に聞き入っています。ご自宅でドリッパーを利用されている方も多いようなんですが、使い分けをしたり、それぞれに専用のペーパーフィルターがあるなどといった情報は初耳だったようで、なるほど!と納得の声が聞かれました。

質問タイムも設けられ、
『同じ種類の豆でも、浅煎りを深煎りに変えたら好みの味になったんですが、どう違いが出てくるんですか?』
『同量のグラム数なのに、袋の容量が違うことがあるんですが・・・。』
『余ってしまったコーヒー豆の活用方法はありませんか?』
などなど、自宅でのコーヒー豆の扱いについて、なかなか聞く機会がなかったことが話題にのぼります。
もちろん講師の黒沢さんは、それぞれの質問にも的確に分かりやすい答えを用意!
『スーパーなどに置かれているコーヒー豆にはいつ焙煎したか書いてないことも多いし、出来るだけ新鮮なものを100gなど少しずつ購入しないと、豆に含まれる油分が酸化して嫌な酸味が出てきてしまう』とか、『焙煎は水分を飛ばして炭にする作業だから深煎りになるほど質量が軽くなって同じ重量でも量が多く含まれる』などなど、次々と出てくる面白い話に、そうそう!それ気になってたのよね。と質問者以外も興味津々で聞き入ってしまっていました。

実際にコーヒーを淹れる見本を拝見し、抽出のポイントをしっかり教わったあと、また各自テーブルに戻っていざ実践スタート!知識が入った頭でテーブルを見てみると、これがあの説明のあったドリッパーで、この専用のお湯差して抽出するのか・・・などなど、最初よりも興味を持って道具にふれることができるから面白い。

用意された豆はまだ挽かれていない状態。これは、12時間前位にカフェふくろうさんで自家焙煎された新鮮な品だそうで、それをこの場で中粗引きにしたものを抽出していきます。
粉になったコーヒーの香りに感動したり、初めて温度計で正確に測ったお湯を注ぎ込んだコーヒー豆のドームにびっくりしたり。4つのテーブルはどこもものすごい必死になって抽出に取り組む横顔ばかりですが、アドバイスの飛び交う声もすごい!
『あら、水は置くように入れるのよ。ほらほら、水の勢いがよすぎて周りの壁が崩れそう!真ん中に注ぎいれないと』
『いつまでも豆を浸してたらアクが出るから、サッと取り除かないと』
『受けるのはコーヒーカップじゃなくて、サーバーだよ』
『入れ終わったら蓋をしないと、香りが飛んじゃう!』
頭に工程が入っているはずなのに、実際に自分の番になるとすっかりポイントが抜けてしまうようで・・・逆に他の方のやることが目につきます。今まで、コーヒー一杯を淹れるのにこんなに真剣になったことがあったかしら??

それにしても、このお湯を注ぎ込むときのひとときが楽しいこと!家でドリップパックにお湯を入れるときとはワケが違います。本当にパンパンに膨らんだドーム状の豆を目の前にするだけで、テンションが上がるから不思議。
でも、これも焙煎してから日数が経つほど、中に含まれる炭酸ガスがどんどん抜けて、抽出したときにお湯を差してもしっかり膨らまなくなってしまうそう。油分の酸化にしても、抽出の工程にしても、いかに“焙煎”がコーヒーを左右するかを思い知らされます。
うちの冷蔵庫に入ってるあの豆、絶対1年は経ってる気がする・・・これを機に、コーヒー豆にもう少し気を遣ってみようかしら。

淹れたてのコーヒーがテーブルに揃ったところで、お楽しみの試飲が始まりました。
『ブラジルって美味しい!後味がすっきりしてるのに、パンチが効いてるわね。嫌な苦味も酸味も感じないわ。』
『コロンビアはすっきりしていて、ブラジルより私は飲みやすいわ。サッパリしてて、沢山飲むにはこちらのほうが好きかも。少しブラジルは重く感じるし。』
どちらもストレートで同じ抽出をしたはずなのに、飲み比べてみると随分と印象が違います。皆さんの好みも様々で、特にブラジルは男性に人気があるようでした。講師の黒沢さんも、“ブラジルにはミルクを少し入れるとまろやかで美味しいですよ”なんて楽しみ方のアドバイスをして回ったり、実際に抽出してみて更に湧き出てきた質問に答えたりしていらっしゃいます。

そして皆さんから歓声が上がったかと思ったら、次々と各テーブルにバニラやコーヒーの自家製シフォンケーキが配られ始めたんです。“カフェふくろう”で自家製のケーキやパンなどコーヒー以外のメニューを一手に引き受けている、黒沢さんの奥様自慢のシフォン!
『まあー!これもいただけるの?!』
思いがけないサービスと、そのびっくりするようなふんわりしっとり!とした食感&美味しさに、教室内に感嘆の声が広がります。

結局配布されたテキストは使用することなく、“お話を聞いて”→“チャレンジして”→“試飲を楽しむ”という、口頭説明と実践で構成されたシンプルな講習内容でした!後で黒沢さんに確認したところ、これはコーヒーマイスター試験用のテキストをピックアップしたものとか。
『講習の時間が1時間と限られているうえに、試飲まで含めると実際の講義は20分程度に抑えなければならず、詳細な説明まですることが出来ないと思いまして。ご自宅でより詳しく確認出来るように、配らせていただきました。なかなか細かい部分までは突っ込めませんでしたが、もっとコーヒーについて知りたい!という方は、ぜひカフェふくろうへいらしてくださいね。』

商工会議所で行われる講習ということもあって、もう少しカタイ雰囲気なのかと思っていましたが、全然!初めて顔を合わせる方々も、“コーヒーを淹れる”という共通の学びを通じて、すっかり和んでいらっしゃいました。
『もう、時間の経った豆は何だか酸化しちゃってる気がして、もう飲めなくなっちゃったわ!』
『お店でもシフォンケーキがいただけるんですって。じゃあ、今度ご一緒にカフェふくろうへ行ってみませんか?どちらにあるのかしら。』
などなど・・・弾む会話が絶えないまま、あっという間の講習が終了しました。
これで、200円は安い!!
今回の講習に合わせて、カフェふくろうさんも実習が出来るように器具も増やしたそうで、今後も機会があればコーヒー講習を開催したいとのことで、ゆくゆくはお店でも簡単な講習会が出来たらいいなぁ!と夢を膨らませていらっしゃいました。
また、八千代商工会議所では定期的に、市民の皆さんが気軽に参加できるこうした体験教室を企画なさっているそうなので、ぜひ“商工やちよ”などをチェックしてみては?!
【今回の講習】
(開催元/八千代商工会議所 食品業部会)
●八千代商工会議所 047-483-1771
千葉県八千代市八千代台南1-11-6(地図)
ホームページ/http://www.yachiyocci.jp/index.htm
会報誌「商工やちよ」pdf/http://www.yachiyocci.jp/012-syoukouyachiyo.pdf/080401-syoukouyachiyo.pdf.html
(講師/CAFEふくろう 黒沢 崇氏)
●CAFE ふくろう 047-485-1621
千葉県八千代市八千代台東1-38-2(地図)京成線「八千代台駅」東口から徒歩7分
営業時間/10:00〜19:00
定休日/毎週火曜日及び第2週火・水曜日(その他不定休あり)
駐車場/有り(1台)
ホームページ/http://cafe-coruja.net/
実食レポート/http://yachiyonavigurume.seesaa.net/article/112850368.html