2016年09月12日

【梨園レポート】マル文 豊梨園(ほうりえん)

【追記】2016年9月12日
2016年9月に開催された「やちよの梨味自慢コンテスト」で、マル文梨園の宮崎貴文さんが見事!1位の『八千代市長賞』を受賞されました!おめでとうございます!


2007年09月22日
“阿蘇ナシ”の名で全国各地に出荷されている八千代の梨。大正初め頃、現在の村上地区では水田が少なく貧困に悩まされていましたが、「麦や芋、養蚕に代わる何か良い農作物はないか?」と、梨の栽培に着手した宮崎B(キヨシ)さんと宮崎規矩治(キクジ)さんお二人が梨の苗を植えたことが始まりだそうです。人生をかけて梨の育成・普及を行った並々ならぬ努力のお陰で、今では“梨”が八千代の特産物となったわけですが、その功績を讃えて七百餘所神社(しちひゃくよしょじんじゃ)の県道を挟んだ向かい側に「頌徳之碑(しょうとくのひ)(→詳細はこちら)」が建立されたほど。
今回お伺いした豊梨園(ほうりえん)さんですが、実はその八千代の歴史に名を刻んだ“キヨシさん”をお祖父さんに持つという、何とも由緒正しい?梨園だったんです!

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キヨシさんのお孫さんにあたるのが、豊梨園(ほうりえん)のご主人宮崎敏勝さん。現在は4代目となる息子さんも一緒に梨を生産されています。樹齢約90年を迎えるという八千代の元祖梨、今も大切に木々を維持されている豊梨園さんにお話をお伺いしてきました!

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場所は村上にあるイズミヤに隣接した新川側の道を、16号(柏方面)へ向かって道なりに進んだ左側にあります。ピピゴルフの看板がある交差点よりもひとつ手前の細道を入ると(図@)、お墓の一角があるのでそこを左折(図A)。木々に囲まれた道を進んでいくと(図B)上下二股の分かれ道に出るので(図C)、ここも左側へ。その先が豊梨園の駐車場です(図D)。この砂利の駐車場へ停めたら、畑の前に建っている直売所へ(図E)。途中、誘導する看板も旗もないので、まさかこんなところに直売所があるなんて思いもしません。“知っている人だけが知っている、隠れ家的梨園”といったところかしら。

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9月中旬に差し掛かったこの日、今は豊水(ほうすい)が最盛期。「今年は特に大玉に成長したんですよ。」とおっしゃる通り、箱詰めしている手元の梨は、どれもはち切れんばかりの立派なものばかり!6Lサイズ級がゴロゴロしています。さらに右奥には、最近“なかなか市場に出回ることのない高級梨”としてテレビでも話題になっている、青梨系「かおり」も販売されていました。

豊梨園は、幅広の直売所に隣接して梨畑が広がっています。ベンチに腰をかけると、視界一杯の梨の木に圧倒されてしまう!この見渡す限りの枝葉を支えている太く立派な木々というのが、八千代の梨を特産物にまで成し得たキヨシさんが大正当時に植えたものなんです。樹齢90年・・・うーん、一切れ口にするだけで何か御利益がありそうだわ。
そんな年季の入った梨の木を、いかに健康なまま維持・育成するかということにポイントを置いた栽培に努めていらっしゃいました。

「とにかく木が元気でいられるような配慮をしています。人工的なものは出来るだけ省き、より自然な状態を保つようにしているんです。例えば農薬散布には、特に気を使っています。減農薬を進めている梨園さんは多いですが、大抵は害虫対策として8月頃に一度散布をします。その場合、散布後24時間経てば収穫可能という農薬を使用するので安全なんですが、うちではそういう農薬も収穫時期には一切使いません。収穫時期を迎える少し前から完全無農薬状態を保っていますから、多少の虫害は仕方ないのですが、とにかく目配りを第一に何とか薬に頼らず頑張っていますよ。」

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土づくりにも化学肥料は使用せず、大豆かすや菜種油かす、魚骨などの有機肥料を利用しているそう。さらに、土壌を自然と豊かにしてくれる“草生(そうせい)栽培”も取り入れていらっしゃいました。一見すると草むしりをしていないようですが・・・この状態を保つことによって、枯れた草が緑肥(りょくひ)となったり、草の根っこが土壌を柔らかくしてくれる作用があったりするそうです。
また、市内でも広く利用されている“害虫交信かく乱剤(→詳細はこちら)”も導入されていました。

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そういえば、豊梨園さんの梨には全部袋をかけているんですね。
「いや、全部ではないですよ。直売所の正面が新高の畑なんで、そう映るかもしれませんが、かけているのは新高や20世紀だけです。幸水や豊水は果肉が柔らかい品種なので日に当てても問題ないんですけどね、直射日光にさらすと甘みが増す代わりに肉質が固くなるんですよ。新高などは昔ながらの品種で元々固めですから、健康日で育てるとさらに固くなってしまいます。
ほかにも、7月から一度も農薬散布をしないわけですが、新高はその年の終盤の梨です。それだけ長い間木にぶら下がっていると、病気や虫害に遭いやすかったり、何かの拍子に傷がついたり、埃がかぶってしまったりします。大玉に成長するので贈答用として売れることが多いですし、やはり見た目が汚くなると商品になりませんからね。
人間だって、紫外線から身を守るために日焼けするでしょう。それと同じように、梨も色素が強くなって赤黒くなってしまうんです。甘さはそこそこにありますから、それよりは食感と見た目を維持するためにも、こうして袋をかけたくらいが丁度良いんですよ。」

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木を健康に育てるためのこだわりとして、畑に網を張らないというのもあるんだそう。網をかけると、いくら目の粗いものを使用したとしても風通しの良さとなると、網をかけないのが一番とおっしゃいます。
「風通しが悪いとね、どうしても空気の循環が悪くなって温室状態になりやすいんですよ。すると、網を使っていることも相まってダニが付きやすくなります。それに日光も、やっぱり多少は遮られてしまいます。病気にかからないようにするには、木が強くあってこそ!日陰育ちよりも、100%太陽エネルギーを吸収して育った木のほうが、やっぱり病気に強くなります。とにかく自然の陽の光を浴びさせることで、いつまでも木が元気でいられるようにしているんですよ。」

一方、網をかけないことで鳥対策に追われるという苦労もあるとか。確かに始終パーンパーンという鳥避けの爆音が鳴り響いていましたが、これは網をかけないで育てるための策なんです。
鳥だけではありません。自然な環境で育てるということは、気候による被害の影響を、もろに受けてしまうということでもあるのです。
「先日珍しく関東を直撃したあの台風でも、ゴロゴロと実が落ちて後始末が大変でした。落ちた実を何とか拾いあげましたが、今でも筋肉痛ですよ。強風に加えて、不意に降られるヒョウもかなりの痛手です。柔らかい梨の実に当たれば、すぐ穴が空きます。木や枝の皮も剥けてしまいますし。
数十年前にも、ものすごく酷いヒョウの被害があったんですよ。丁度7月に入った頃、まさに収穫直前というときでした。竜巻のような激しい突風とともにね、大粒のヒョウが突然バアアーっと降ってきて、上へ伸びる枝が右へブワー!左へブワー!!と、吹き倒されたんです。あっという間に梨の実が、目の前で全部落下していきました。
あの時はもう、ほんとに見ていられなかったですよ。」

その年の梨は全滅。実ばかりではありません。特に被害のひどかった白井地区では、葉が根こそぎ吹き飛ばされ、深手を負った木々の中には植え換え以外に無い畑まであったそうです。何とか維持できた木でも翌年以降再び元気を取り戻し、実が正常に成るまで数年かかったと言います。

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「もうここにある木は、人間でいえばおじいさん。ご老体に無理をさせれば、木が弱ってしまうんです。収穫量は限られてしまいますが、それでもある程度まで間引いて、1本あたりに生る実の量を調整しています。人間だって、20〜30代くらいの働き盛りの頃は、体力があるから多少の無理も乗り越えられます。けれども、まだまだ技術的には発展途上。数がこなせたとしても内容的にはこれからの域。逆に、熟練の業を習得した年配層は、若者が100出来るところ20位しか量がこなせないかもしれませんが、一つ一つ良い仕事をするでしょう。そういう差が、梨にもあると思っているんです。」

幸水などの新品種は、長く育てるというよりも30〜60年程度で植え替えてしまった方が良いものもあるとのことでしたが、新高や長十郎、20世紀など昔ながらの品種については、年を重ねるごとに深みを感じさせる「何か」があるようです。

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樹齢90年の梨なんてそうそう見れる機会もありません。八千代を梨の街としても有名にしてくれたキヨシさんに思いを馳せつつ、梨畑を眺めに梨を買いにくるというのもまた一興。
村上梨集出荷場の隣にある石碑とセットで、ぜひ足を運んでみてはいかがですか?

●マル文 豊梨園(ほうりえん) 047-486-1156(兼FAX)
千葉県八千代市村上426(地図
営業時間/10:00〜18:00
駐車場/有り
※「八千代ナビ!八千代の梨園マップ」豊梨園詳細はこちら
posted by やちなび子 at 13:28 | Comment(0) |  >梨園 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月24日

幸水梨スタート!あともう少し夏野菜続きます(道の駅やちよ農産物直売所クラフト)

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まだまだ残暑が厳しい毎日ですが、八千代市の農産物には秋の気配が感じられるようになっているんでしょうか?今週頭に、道の駅やちよの農産物直売所「クラフト」さんの様子をうかがってきました!
例年では、すっかり幸水梨に売り場が占領されている頃。
そんなつもりで販売スペースへ立ち寄ってみましたら・・・まーだまだ、ナスやらキュウリに圧され気味で、隅のほうに並ぶ梨の一角が!

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今年は、先日行われたN-1グランプリのレポート(⇒こちら)でもご紹介したとおり、やや出遅れ気味の幸水。例年に比べても10日ほど遅いんですって!
この時期はみなさん梨を求めていらっしゃる方が多くて、手には一様に袋入りの梨をお持ちでしたから、ただでさえ数の少ないコンテナがどんどん減っていきます・・・。

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↑ 朝に納品されるだけではなく、お昼〜夕方まで次々と持ち込まれてきます。が、仕入れた端から売れていく!!袋入りは500円、1,000円の種類がありますが、例年に比べても何だか玉が大きい!!

幸水がいつも通り店頭にたくさん並び始めるようになるのは、8/27(月)前後あたりではとのこと。
私が写真を撮った20日(月)の時点では、まだ5軒ほどの梨農家の方しか納品していない状況でした。
とはいえ、今年の幸水は大玉揃い!!
梅雨に日中晴れて、夜中雨が降るという天候が続いたおかげで、ただでさえ玉が大きく生育しやすかったんですが、例年以上に暑さが続いたので病気が発生しやすく、摘果(てっか)を通常より多めに行ったことが大玉に拍車をかける結果に。
一本の木に生る梨の量が少なくなったことで、自然と栄養分が数個の玉に行き届きやすくなったというのです。

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箱売りの梨を見ても、玉数が少なめでひとつひとつが大きいタイプが多く販売されています。
私も親戚などに八千代の幸水梨を贈ったのですが、皆さん箱を開けて「え?!豊水???」とびっくりされたみたいです。
ただ、こういう大玉揃いの年は、“玉数が多くてサイズが小さい”という箱の用意がなかなか出来ません。
市内の直売所でも「予約順に配送しているけれども数が足りない場合は豊水になります」といった張り紙を見かけましたが、個数少な目の大玉狙い?で注文すれば多分まだまだ大丈夫だと思われます。

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それにしても、幸水梨は日に日に甘さが乗ってきている様子!
先週末に買った時よりも、今週のほうがぐっと甘味が濃く感じられました。
ぜひ贈り物を考えている方は、今週末〜来週あたりがオススメですよ!
そうそう、直売所では大抵予約順に朝採りした梨を配送してくれるため、その日に行って店頭に並んでいる箱を送れるとも限りませんが、ここクラフトでは並んでいる箱から気にいったものを選んで贈ることが出来るんです。

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↑ 平均的には3kgで3,000円程度でしょうか。中には2,500円で出している方もいてビックリ!!

奥にある長テーブルで配送受付をしてもらえるので、箱を持って声を掛けてみてくださいね。
土日なら会計もすべてこのテーブルで出来ます(平日はレジで会計)。
5kgだけではなく、少人数のご家庭へ贈るのにもピッタリな3kg箱も出ているようでした。
なお、クラフトでは予約は出来ないので、必ず販売されている箱から選ぶ必要があるのでご注意を。

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9月中旬〜末頃までは、まだまだ夏の野菜が楽しめそうです。
今回見かけた野菜の中から気になるものをピックアップしていきましょう!

八千代産の青とうがらし
ピーマンのような大きなものから、細長く小さなものまで、種類豊富にししとうや青とうがらしが並んでいました。
「甘辛とうがらし」は、薬味はもちろん野菜炒めやサラダにして食べるのもオススメ。ちなみに甘辛とうがらしにも色々な品種があるそうですが、全般的に見た目はかなりピーマンに近くて、ピーマンの先が長細くとがっているような感じです。麺つゆや砂糖で煮て佃煮にするのもいいんですって!ピザに乗せたり、簡単に焼いて美味しさを味わっても。
別名“とうがらしの王様”とも呼ばれている「万願寺とうがらし」。
こちらは下の写真だと、先の甘辛とうがらしより細長くやや小ぶりに見えますが、かなり大きく成長することから王様と呼ばれているんだとか。
甘味があって肉厚、種も少なめで、焼いて素材そのままを食べると美味しい!京野菜のひとつです。

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他にもピーマンと万願寺とうがらしを掛け合わせた京野菜「甘長とうがらし」なども八千代産で出回っています。辛さを求める方向けに、ほのかな甘さと香りが特徴の「激辛青とうがらし」も!
こうした青とうがらしは、ビタミンAやCが豊富で、抗酸化作用も!夏の疲れたカラダにピッタリの食材ですね!

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豆類
夏のおつまみといえば枝豆!
7月〜8月にかけて親しまれてきた湯あがり娘など青いタイプのエダマメはそろそろ終了。次は薄皮が黒っぽいだだ茶豆系が登場するようです。意外と長く楽しめるえだまめ、9月も旬のものを頂けます。

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↑ 枝つきのものが新鮮!と言われますが、そうは言っても扱いやすい袋詰めタイプも有り難い!ファーッと沸騰して口が開いてフクフクしてきたら、さっと冷水にとって固めに仕上げると食感も楽しめて美味しい。塩は多めにふるのがコツ!

そろそろチラホラと直売所で見かけられるようになったのが、毎年人気高い「生らっかせい」。
この日も一袋300円で並んでいましたが、数が出てくるのはこれから9月が本番!
ぜひ茹でたての柔らかい食感が面白い、貴重なお味を楽しんでみてくださいね。
⇒実際にゆで落花生を作ってみたときのレポート

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薬味
夏バテ対策に欠かせないと言えば、ショウガやニンニク、さまざまなハーブ類。
クラフトには八千代産の青じそがきちんと一枚ずつ束ねて販売されていたり、スーパーではお高めなバジルも大量に袋に入って120円などなど、惜しまず使えるアイテムが!
こんな暑い毎日でも青々と畑で生い茂る葉しょうがなどもオススメです。

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葉もの野菜
今の時期、スーパーにはいつでもおいてあるほうれん草や小松菜などは、暑さに弱いのでなかなか直売所には並びません。代わりに普段なかなか食卓にのぼらないような青物野菜が色々と見られます。
ちょっぴりねばねば感のあるモロヘイヤやツルムラサキ、アジアン料理でお馴染みのタアサイや空芯菜なども、袋一杯に入って100円って!!
白菜の代わりに使える山東菜(さんとうさい)なども見かけました。

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秋になるとかぼちゃやさつまいもなどホクホクっとした食感の野菜が恋しくなりますが、多くのかぼちゃは7月あたりから収穫できるようになります。かぼちゃは2〜3か月置いて、水分を抜いて甘みを濃縮させたほうが美味しい品種も多いのですが、今の時期でも十分美味しくいただけますよ!
8月にもなると珍しい金糸瓜も並び、かぼちゃコーナーはこれから冬にかけてずっと賑わっています。
⇒かぼちゃについて詳しく紹介したときのレポート

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↑ ひとつまるまる買うのは大変!という方に人気のカット売り。こちらはお早目に使ってくださいね。料理が楽しい小さいかぼちゃも、坊ちゃんかぼちゃや栗坊など種類がいくつかあるようです。

そうそう、8月末といえばもう早生米が出回り始めても良い頃です。
が、八千代では放射性物質検査を行う関係でまだ八千代産の新米は一切出回っていません。
9月に入って検査結果が出次第、クラフトでも新米を扱うとのことでした。
⇒追記 9月4日 検査結果が公開され、問題なく流通できることになりました!

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ちなみにここのお米コーナー付近のレイアウトが少し変わりました。
今までお米が並べられていた棚を移し、非常口として使うドア(通常は締切)周辺をすっきりさせたとのことです。
その関係でイモ類が置かれている場所も窓側に移動しましたが、全体的な品数には影響していないようです。

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今週末以降、より一層賑わいそうなクラフト!
ぜひ甘い八千代の梨を選びに行ってみてはいかがですか?

●八千代ふるさとステーション 農産物直売所「クラフト」 047-488-3188
千葉県八千代市米本4905-1道の駅「やちよ」八千代ふるさとステーション内(地図
営業時間/9:30〜18:00(4月〜9月は〜18:30まで)
定休日/第2月曜日
【交通手段】
(バス)@京成電鉄「勝田台駅」より米本団地行き(約25分)A東葉高速鉄道「八千代中央駅」から米本団地行き(約20分)※@Aいずれも終点米本団地下車 徒歩約5分B公共施設循環バス「ぐるっと号」でふるさとステーション下車

〔関連記事〕
・道の駅やちよの農産物直売所「クラフト」(2007年09月26日)
posted by やちなび子 at 10:59 | Comment(0) |  >梨園 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月21日

【追加記事】梨が最盛期!ナスやカボチャも出始めました(農産物直売所クラフト)

8月のお盆が過ぎ、いよいよ幸水が最盛期を迎えました。
道の駅やちよの農産物直売所クラフトでも、すっかり梨一色になっているに違いない!と、小雨がぱらつく肌寒い中お店へと向かいました。

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↑ 珍しく雨の日にクラフトさんへ。いつも週末は大賑わいだけれど、さすがにこんな日はお客さんも少なかろうと思いきや・・・。

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↑ 店内は人で一杯!天候なんて全然関係無しです。11時前頃でしたが、既に売り切れてしまいそうなケースも。

ほとんどの品が朝採りされたばかりのものですが、こういう雨の日は農産物のラインナップに影響はないのかしら?
『葉物野菜のうちほうれん草や小松菜なんかは、雨に当たったまま袋詰めするとパリパリになりすぎて折れてしまうこともあるので、収穫自体を避ける農家さんが少なくないみたいですね。他にも収穫時に雨に濡れたまま置いておくと葉がとろけてしまうものもありますから、雨が降ると分かっている場合はやむなく前の日の夕方に収穫することもあるようです。一部では納品量が少なくなる野菜があるものの、大半は雨でも収穫されていますから、気にすることなくご来店いただけると思いますよ。』

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↑ 確かに小松菜やほうれん草のケースは2つ位しかありませんでしたが、空芯菜は濡れ気味だったのできっと朝収穫されたんだわ!同じ葉物野菜でも扱いが違うようです。

ようやく八千代を涼しくしてくれている恵みの雨ですが、ずっとカラカラ天気が続いていたことで、今年の幸水はどの梨園も小ぶり傾向にあるようです。例年ならこの時期は箱売りの梨が多く積まれているのですが、袋梨ばかりが並んでいました。
そう言えばスーパーで見かける梨って、今年ちょっと高めじゃないですか?
『今年は八千代に限らず、どこも小ぶりで収量が少ないんでしょうね。市場でも値がしっかりつくようなサイズの梨が卸せないようで、梨の価格がやや高騰気味になっているように思います。一方直売所では、そうした小ぶりな梨を詰めた1,000円袋や500円袋の数が増えていますから、逆に価格競争傾向にあるんです。最近では値崩れし始め、通常1kg500円が平均のところ2kg入りにする袋も出ていますよ。』

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↑ 今年の幸水は直売所で買う袋入りの梨がお買い得?!

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↑ 春先の低温で最盛期自体が遅れ気味な幸水も、この週末にようやく玉が大きくなってきたとのことで、ちらほらと箱売りの梨も置かれ始めたそうです。

小玉で数量が少なめという幸水とは逆に、甘さも収量も期待大!と皆さん口を揃えておっしゃるのが今年の豊水。こういう好天カラカラのあと雨が降り続くような年は、豊水の当たり年になる傾向があるんですって!
早い農園だと来週末あたりから豊水が出回り始めるとのことで、9月に入ると一気に梨の種類が増え始めます。南月や長十郎、秋月や新星などなど、直売所でしか見られないような希少品種も一堂に会す、まさに梨一色の1ヶ月!!

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市内にあるさまざまな直売所から持ち込まれるので、ぜひ生産者名を見ながら楽しんで梨の食べ比べをしてみるのも、ここクラフトさんのオススメ活用術です。
ちなみにどこに直売所があるのかをチェックするなら、梨園マップもご参考にどうぞ!
梨の品種紹介なども掲載してますよ。
⇒八千代ナビ!八千代の梨園マップ

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↑ 箱梨は配送をお願いすることも出来ます。角にある特設カウンターへ声をかけてくださいね。

8月後半から10月一杯位までは、梨のほかにナスやカボチャが多く出回ります。
すでに長ナスや水ナス、米ナスや丸ナスなどなど、多くの種類のナスが梨コーナーに負けじ!と幅を利かせておりました。

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美味しい秋ナスもまた、梨と同じく生産者によって色合いや形、そして価格までさまざま。
これだけ数が出ているにも関わらず、人気生産者のものはあっという間に品切れになってしまうというのですから、皆さん目が肥えていらっしゃいます!若しくは、お気に入りの生産者さんを覚えているのかしら?

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↑ 米ナスは実がしまって煮崩れしにくくクリーミーな食感なので、グラタンのようにオーブンに入れたり煮物にするのがオススメ!果汁が多く柔らかいのが特長の水ナスは、生食や浅漬けするのに向いているようです。

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↑ 米ナスのように実が固くしまっていて甘みがある丸ナスは、万能選手!田楽や焼きナスはもちろん、煮てもいいし天ぷらも美味しそうです。赤紫の地に白いすじが沢山入っているゼブラナスなんてのも!せっかくの鮮やかな見た目を生かすためにも、煮ものなど色が抜けてしまう調理法は勿体ない!実が緻密で油を吸いにくいナスなので、ぜひオーブンや素揚げなどでどうぞ。

これから冬に向かってどんどん数が増えてくるカボチャや冬瓜(とうがん)、そして今年はご近所でも家庭菜園のレパートリーに加わっていそうなゴーヤも並んでいました。
特にクラフトさんに集まってくるカボチャは、他で見かけない珍しい品種が多いんですよね。
確か去年かおととしあたりのレポートで詳しくカボチャについてご紹介しましたが、栗かぼちゃやほっこりえびす、そうめんカボチャなどネーミングも面白く、つい色々と試してみたくなる品種ばかり!

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ありました!3年前のレポートに詳しくカボチャについて触れていました。
⇒2008年08月12日 種類豊富!かぼちゃが勢ぞろい

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↑ そうめんカボチャはときどきテレビで特集されるようで、この日もご夫婦が「あ!そうめんカボチャが売ってるわよ。食べてみましょうか?」と買うか買わないかで相談中でした。右写真は姫とうがんのカット売りです。丸のままの冬瓜も置いてありますが、そんなに大量の煮物作れないわ!というご家庭にはピッタリ。ちなみに丸で買っても下ゆでして冷凍保存すれば、大根的な感じですぐに使えるのでオススメです。

そうそう、この日はゴーヤコーナーの一角で「ハヤトウリ」という野菜を見つけました。どうやって使うのかしら?と尋ねたところ、漬物売り場コーナーで浅漬けにされているのを教えていただきました。

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どんなお味なのか気になり買って帰りましたが、キュウリより柔らかめでクセのない風味。しかも一袋の量が結構多いのに価格も150円程度でお買い得!
なび息子たちにも好評で、あっという間に完食してしまったほど。

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↑ 漬物コーナーでは「はぐらうりの浅漬け」として売られていました。幅があるので縦半分に切ってから斜め切りにして。そのままでも美味しかったのですが、醤油を垂らしてちゃちゃっと味の素をかけるとパンチが効いてさらにウマイ!

今回もクラフトさんの隠れたオススメアイテムを2つご紹介しましょう。

ひとつは生花!

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館内にあるレジカウンターの右辺りに年中コーナーが設けられています(外に面したレジ側にもあったような気がしますが・・・今度しっかりチェックしてきます!)。
こちらで扱っているお花も、八千代の生産者さんが毎朝持ち込まれているものです。
季節によって内容も違うのですが、仏花にしてもしっくりくる落ち着いたものから、玄関の花瓶を彩ってくれそうな鮮やかな組み合わせのものまで、何種類かの束が用意されています。
お値段も一束300円でリーズナブルだし、何より日持ちがする!と人気なんだとか。

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↑ この日は小さなひまわりが加えてある束も発見!日常に生花があると特別感があって良いですよね。

もうひとつのオススメ品は、最近扱い始めたというこちらの手打ちうどん!

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北総線の印旛日本医大駅近くの「武蔵野うどん鈴や」という手打ちうどんやさんが卸していて、北海道産小麦100%・塩・水だけで仕込まれた生麺です。ふすま(小麦の外皮)まで丸ごと挽いたものを使用しているため、色がうどんというより蕎麦っぽい灰色に仕上がっています。
甘く味わいのある風味だというので、ぜひ今度チャレンジしてみなきゃ!それこそ旬の揚げナスを添えた冷やしうどんにしても良さそうね。

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↑ 3人前(450g)入りで500円なり。中細・中太と種類があり、お肉などが置いてある冷蔵コーナーで取り扱い中です。

さてさて、本日もオススメを一通り伺ってから色々と買い物して帰ってきました!

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売れ筋上位という生産者さんの艶やかすぎるナス(5本で100円ですよー!!)、皮の際まで色付いた甘そうなつるなしやっこカボチャ、空芯菜、ピーマン、そして相変わらず安いキノココーナーからえのき(50円)などなど。
お昼はナスとピーマンの甘い豚肉炒めを、そして夜は空芯菜とベーコンのガーリック炒めで、旬の野菜を美味しくいただきました!

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↑ ナスを切った瞬間にふんわり優しい香りが!実がしまってて断面がキレイ。アクが感じられないほどで、炒め物にしても皮まで柔らかくジューシーでした。空芯菜も相変わらずのシャキシャキ具合!全くクセがないし炒めてもぐじゃーっと水っぽくならないので、一度使うとやめられない青菜炒め定番の素材になりますよ。

冬の大型野菜到来前に、ちょっと目新しい野菜探しを楽しんでみてはいかがですか?

●八千代ふるさとステーション 農産物直売所「クラフト」 047-488-3188
千葉県八千代市米本4905-1道の駅「やちよ」八千代ふるさとステーション内(地図
営業時間/9:30〜18:00(4月〜9月は〜18:30まで)
定休日/第2月曜日
【交通手段】
(バス)@京成電鉄「勝田台駅」より米本団地行き(約25分)A東葉高速鉄道「八千代中央駅」から米本団地行き(約20分)※@Aいずれも終点米本団地下車 徒歩約5分B公共施設循環バス「ぐるっと号」でふるさとステーション下車

〔関連記事〕
・道の駅やちよの農産物直売所「クラフト」(2007年09月26日)
2010年10月29日【追加記事】秋〜冬の味覚満載!野菜高騰時こそ上手に活用
2009年09月11日【追加記事】種類満載の梨!秋の味覚揃いました
2008年09月04日【追加記事】梨ピーク!新米も出始めました
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2011年08月17日

【梨園レポート】幸果園(こうかえん)

【追記】2011年8月17日
今年直売所をリニューアルした幸果園さんを拝見してきました!(レポート末尾)


2007年10月9日
「納得いただける良い商品を作ることが一番!けれど、それだけでは本当に満足いただけるとは思いません。心を込めた接客はもちろん、少しでもニーズに添えるよう努力しています。」

どこかの一流企業で素晴らしい理念を聞いているようですが、お話されているのは会社でもショッピングセンターの方でもございません!今回も、間違いなく梨園レポート。実は、八千代市村上の梨園「幸果園(こうかえん)」の奥さんが語っているんです。

年に1回、多くて2〜3回ほどしか顔を合わせないお客さん、けれども毎年足を運んでくれる常連さん。その一人一人を出来る限り記憶し、短い時間でも楽しい会話を・・・と、年1回の接客に心血を注いでいらっしゃるというのですが、こちらの梨園はリピーターさんを数えきれないほど抱える超人気店!口コミで広まり、雑誌danchu(ダンチュウ)をはじめ、多くのTV・雑誌等のメディアで紹介されている話題の梨園だけあって、市場に出荷する前に店頭で売り切れてしまうのだそう。そうした状況でも、声を嗄らしながら笑顔で色々語ってくださった梨園「幸果園(こうかえん)」のご主人と奥さんに、その人気の秘密を伺ってきました。

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↑ 16号を柏方面に向かって宮内交差点(右前方にセブンイレブン)を右折すると、すぐ右側に「幸果園」の大きな看板があります。

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↑ 【追記】平成23年に直売所がリニューアルされ、こんな外観になりました!

一番の特徴といえば、「大玉専門店」と呼ばれるほど、品種に関わらず大玉がゴロゴロ販売されているということ!大きいと、つい“大味”なんじゃないかしら?と思ってしまいますが、梨は大きくなるほどおいしいのだそうです。
「うちは幸水でもMサイズなんてほとんど出来ません。豊水になると、3Lサイズでも小さいくらいです。とあるお客様から『ショッピングセンターで贈答用の幸水梨を注文しようとしたけれど、一番大きいサイズで2Lまでしか無いと言われた』とお伺いしたことがありますが、うちで大玉と言えば3L以上です。一般的に数が採れないとされている大玉は、なかなか市場で大量販売出来ないようですね。
うちで贈答用として箱買いされるお客様には、幸水だと4L〜5Lが売れ筋。やはり“なかなか市場では買えない大玉を送りたい”というご希望が多いようです。」

梨の標準小売価格表を見ても分かるように(→こちら)、同じ5kg箱でも詰める梨のサイズが小さくなるほど値段が安くなるので、価格を理由に小さいサイズを選ぶ方も少なくありません。ですが、実際に食べ比べてしまうと「やっぱり大玉の方がおいしい!」と気が変わって、大抵大玉を希望されるんだとか。
とはいえ、なかなか大玉になりにくい幸水。注文したくても収穫量によって順番待ちになるケースが多い品種ですが、ここ幸果園では大玉だから・・・という心配は御無用!4Lや5Lがわんさと採れるらしいのです。収量だけではなく、サイズも並外れたことに!大きいものだと新高ほどにもなるそうで、“ジャンボ幸水”と呼ばれて目玉商品になっているとか。

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そんな大玉自慢な幸果園さんですが、自然と大玉ばかりが生るわけではありません。毎年並々ならぬ努力と技術を注いでいるからこそ、大玉狙いのお客さんに応えられる質と量を維持できているのです。

「梨を作るうえで、やらなきゃいけないことは決まっています。“それを全部やれるかやれないかで、梨の出来が違ってくる”と、うちのおじいちゃんはよく口にしてますよ。収量を増やそうとすずなりに実をつければ大玉になりませんが、間引いただけでは収量は増えません。長年培ってきた技術と勘、それに出来る限り手をかけ目をかけ健全な木に育て上げていくことで、大玉且つ高い収量を得ることができるんです。
特に幸水は、育て方によって収量が3倍ほども差が出るほど難しい品種だと言われていますし、天候が過酷な年ほどそれが顕著に結果として出てきます。」

健全な木に育てるために、有機肥料の使用や減農薬などはもちろん、天災による被害を最小限に抑えるための投資も欠かさないそう。そのひとつが「多目的防災網(たもくてきぼうさいもう)」と呼ばれる網を掛けることなんだとか。

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多目的防災網の使用が特に広まったきっかけというのは、ヒョウによる被害だと言います。生り始めた小さな実に少しでもヒョウがかすれば、もう黒く傷がついて売り物にならなくなってしまうそうです。小指ほどのヒョウは木の皮をもビリビリにし、実や葉を落下させてしまいますが、この防災網によってそうした災害を最小限に抑えることが可能になりました。
「年がら年中かけているわけではなく、必要な時期だけ網で畑全体を覆います。この網をかけたり巻き取ったりを、家族総出で数日かけて行うのですが、それはもう大変な労力なんですよ。梨の枝はどんどん上に伸びていきますし、それを妨害したり折ったりしないように気をかけながら、はしごを使って網を張っていきます。途中どこかにひっかかれば棒でつつき、声を掛け合いながらの力仕事!」

霜も対策を怠ると大ダメージを被るんだそう。“霜による影響”といっても何だかイメージが湧きませんが、花が凍ることでめしべが真っ黒になってしまい、実がつかなくなるんですって!しかも、最近は暖冬で開花時期が早まる傾向にあるため、輪をかけて霜の被害に遭いやすくなっているとか。
そこで活躍するのが「防霜(ぼうそう)ファン」という送風機。冷え込みが激しい地表から数メートル上には、逆転層と呼ばれる比較的暖かい空気がたまるのだそうで、その位置あたりに防霜ファンを取り付けることで下へ空気を循環させる仕組みです。万一花が凍っても、ゆっくりと解凍されるため被害から免れることができるとか。

「大きな被害に遭った時に、速やかに機器や道具を取り入れるか、“もうこんなひどいことは無いだろう”と様子を見てしまうか。この判断で差が出ます。惜しまず資本投資できるか?これが同じ失敗で苦労しない一番の策ですね。」

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こうした“手をかける”投資と並んで、重要視しているのが“目をかける”ということ。幸果園の奥さんは、お父さんの見回りの勘を絶賛します。
「うちのお父さんって、木が今何を欲しがっているのか、ダメになっている部分がないかがパッと分かるのよ。なかなか気付かないようなちょっとした赤ダニも、どうしてかすぐに気付くんです。これを放っておけばすぐに大量発生へとつながるけれど、大抵未然に防ぐことが出来ています。そうした梨の小さな異変を察知できる鋭い観察眼、そして長年の経験から養われてきた勘が、木の健康を維持できている要素のひとつですね。」

形の良い大玉を収穫するため、特に力を入れているのが授粉作業だそう。そもそも、梨は同じ品種同士では実がならないというやっかいな性質をもっています。そのため、多品種を混植して蜂や風によって花粉を運んでもらうか、あるいは違う品種の花粉を人工的に付けてあげないと授粉できません。
普通に考えれば、混植すれば手間がかからないのでは?・・・と思うところですが、品種ごとにきちんと人工授粉を行うそうです。
「形の良い梨を作るには、授粉が重要なんです。梨には授粉できる場所がひとつのめしべに6か所あるのですが、すべてに授粉できて初めて丸く形のよい梨に仕上がります。けれど、ミツバチなどが花粉を運んで4か所とか5か所しか授粉しなければ、いびつな形になってしまうんですよ。一度授粉してしまった花に、あとで追加して花粉をつけてももう手遅れ!なので、蜂に邪魔されないように多目的防災網を早めにかけて、蜂が入らないようにしたりしています。」

虫の力を借りれば、いびつな形になってしまうかもしれないけれど、少なくとも梨が収穫出来る可能性は広がります。けれども、こうして網を張って一切を人工授粉で賄うというのは、人工授粉に手慣れていない場合はかなりリスキーなんだとか。熟練した技術と相当な人手が不可欠な作業だそうです。
「一番良いタイミングで授粉できる時期というのは、開花後2〜3日。梨全体での受粉期間は10日程度と、大変短い時間での勝負になるんです。授粉作業が間に合わなければその木には実が生りませんが、もし雨が降れば作業が中断されてしまいます。とても家族など身内だけでは人手が足りませんので、毎年パートさんなどをお願いして人材を確保しているほどですよ。」

人工授粉するための花粉づくりも、相当な技術を要します。開葯器(かいやくき)という機械で加熱保温して花粉を集め、絶妙なバランスで配合した自家製の花粉をはけで塗っていくそうですが、これも天候などの状況に応じて薄めたり濃い目に作り直したりするんだとか。この判断を誤ると、きちんと塗ったとしても授粉に結び付かず、木にまるまる実がならない・・・というケースが生じることも。

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そうして実った貴重な大玉梨。そのままでも十分魅力あふれる品ですが、さらに“接客”という付加価値が、幸果園さんならではの逸品に仕上げるのです。

「毎年足を運んでくださるお客様を裏切らないために、美味しい梨を作るというのは大前提。プラスアルファとして、お客様との時間を大切にすることを常に考えて接客しています。お帰りの際には、少しでも幸せな気持ちになってもらえれば何よりですね。」

何がすごいって、去年1回会ったっきりのお客さんと、最近まで顔を合わせていたかのように話が出来ること!私たちお客の立場からすれば1軒のお店ですが、お店から見れば自分なんて大勢の中の一人。覚えていてくれるだけでも嬉しいのに、去年話したことまで記憶してくれていたらビックリするやら親しみ深くなるやら。
それは幸果園へ毎年訪れる方々も同じ思いのようで、「おしゃべりするのも楽しみなのよ!」と声をかけられることも多いとか。
その接客スタイルを確立したのは、何と言っても凄まじい記憶力!相手と交わした会話や顔、それにどういう接客を以前望んでいたかということまでを、出来る限り頭に叩き込むそうです。そして翌年、記憶の糸をたぐりよせつつ、ああ!あの方は去年娘さんに赤ちゃんが生まれるって言ってたわ!と思いだせば「今年はお婆ちゃんになりましたねー!」なんて声をかけてみたり、短い時間でも会話が弾むきっかけを作っていくんですって。

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そんな心がけが通じ、お客さんにとても慕われている幸果園さん。お店のアピールをも積極的にしてくださるそうで・・・。
「この直売所の後ろに貼ってある『祝 平成十七年 千葉県梨味自慢コンテスト特別賞受賞』の文字、こちらはお習字を嗜んでいらっしゃるお客様が書いてくださったんですよ。今まで色々と賞をいただいてきましたけれど、何だか恥ずかしくて賞状なんて飾ったこともなかったんですけどね。お客様から『受賞した梨園だとアピールするのは、送り主としても嬉しいものなのよ。信頼性だってアップするし!』と後押ししていただいたこともあって・・・折角なので平成17年に頂いた賞状2枚も一緒に飾らせてもらいました。」

このお習字を書いていらした方、とってもマメな奥様だそうで、新高ジャンボ梨という文字も書いて、さらにパウチしたものまで持ってきてくださったんですって!しかも、それを立てるものも日曜大工好きなご主人が制作。ぜひPRしてくださいね!とおっしゃるそのお客さん、かなりの幸果園さんファンでございます。

PRのことのみならず、お客さんとの会話の中から引き出されたニーズに応える努力も惜しみません。そのひとつが“3キロ箱”を用意したことだとか。

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最近は核家族化で夫婦2人のところも多く、5kgは食べきれないという声も多かったそう。それに、4Lサイズの幸水を送ろうと思うと4,000円プラス850円の送料がかかってしまうので、結構な額になってしまいます。かといって3,000円で抑えようと2Lサイズを詰めると、16個ほどもある上に大玉に比べて味もイマイチ。
そうした状況をクリアにしたのが3kg箱!人気の4Lも8玉で3,000円、これに送料も350円下がって500円で済むのです。「良いものを少し」というニーズを、見事に実現したオリジナル3kg箱の登場によって、若い方が両親に送ったり、今まで量が多くて送れなかったお婆ちゃんの家にも送れるようになったりと、送り先にも広がりが出来たそうです。

反面・・・今まで5kg買ってくださったお客様が3kg箱に流れてしまうとなると、売り上げの面で厳しかったんじゃないですか?
「確かに、この箱を作ろうと検討したときには、そういう心配がないわけではなかったんです。けれども、それよりお客様のニーズに応えるためには3kg箱は不可欠だという状況が、背中を押してくれました。
先日も、3,000円程度でお返ししたいけれど、5kgだと大玉の良い梨ではお返し出来ない!と梨を選択からはずそうとしたときにうちへ来てくださったんです。3kg箱があったからこそ、5Lサイズを6玉入れて3,500円でお作りすることが出来たんです。他にも、マグカップをご持参されて、これを一緒に送りたい!とおっしゃいましたので、ひとつ分の梨を抜いてところに入れて送ったこともありました。お客様のニーズは本当にバリエーション豊かですが、出来るだけご要望に沿えるようとことんお付き合いしてますよ。」

そうそう、この箱側面に書かれた“やちよの梨”の文字。あのお習字の奥様が書いてくださったんですって!

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それにこちらの「お願いシール」も先様に美味しく食べていただくために始めた独自サービスのひとつ。完熟した梨をもぎたてで送るわけですが、リンゴなどのように長持ちしない幸水は、段ボールから取り出さなければ痛んでしまいます。そこで、目立つように黄色のシールで「日持ちがしないので、野菜室などの冷暗所へすぐに移してください」というお知らせを外箱に貼るようにしたそうです。ちなみに、3kg箱には初めから印刷して作ってあります。
「冷蔵庫じゃなくて、野菜室に入れてくださいね。傷がついていないものなら1〜2ヵ月は持ちます。前にも、忘れた頃にうちの野菜室から幸水が出てきましたよ。折角お客様が思いを込めて贈った梨ですから、ダメにしないでもらいたい!そのために出来る企業努力です。」

幸果園さんは、以前NHKの番組「食卓の王様」に“親子3代梨作り”というタイトルで取材を受けたことがあるそうです。その際、「梨がセールスマンなんですよ。」と表現したことがとても評判でした。
「自分達が営業に回らなくても、送られた方から梨の注文をいただくんです。梨をしっかり作っているからこそ、その味が営業してくれる。それを“セールスマン”と例えたんですね。ふと思いついて口に出た言葉ながら、全くその通りだと思いました。」

そのお話のとおり、この直売所でも大抵用意している通称「1,000円袋」にも余念がありません。
「勿体無いからと、何でもかんでも袋に詰めたら購入した方にはこれが幸果園の梨だと思われてしまうでしょう。配送に回らないサイズを袋に入れますが、自分がもし袋に入っていたら嫌だなと思うようなものは決して入れません。そういうお金を取れない梨は、売らずに『ご自由にお持ちください』のコーナーに回します。基準を緩めないから、うちの1,000円袋は美味しいと評判ですよ!」

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「大玉は決して安くはありませんが、価格だけで判断しないで欲しいんです。配送ひとつとっても、場所によってはパックにしっかり収まらないサイズを送るところもあると聞きますが、うちはキツキツにパックに詰まった状態で、責任を持って先様にお送りします。梨の美味しさを追求し、それだけの投資をしています。」

梨園の名前どおり、梨という果実に幸せのせて、今年も多くの方々に笑顔を提供している直売所「幸果園」さん。梨シーズンも終盤ですが、まだまだ八千代の直売所めぐりは楽しめそうです。

【追記】2011年8月17日
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宮内交差点そばにある幸果園さん。
場所はそのままに、直売所の建物が新しくなりました!

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↑ 箱売りスペース、受付カウンター、配送申し込み用紙に記入&試食テーブル、とすっきり分かれたレイアウトになりました。奥には箱詰め作業を行うスペースもありますが、あまり目に入らないためか店内がとてもスマートな雰囲気に!

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↑ 用紙記入&試食テーブルが広々!駐車スペースも以前から広めでしたが、より停めやすくなった感じがします。

幸水梨の様子も拝見してきました!
今年は春先に低温が続いて開花が遅れてしまったそうで、どの梨園も10日ほど最盛期が遅れているとのことでした。幸果園も収穫量がまだピークではないのですが、お盆で梨の需要が高まっているため配送や当日販売分も数が限られてしまっているとか。
20日前後にはかなり安定してきそうです。

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↑ 今年は雨量が少ないので小玉サイズになりがちということでしたが、大玉づくりに力をいれているだけあって、5Lサイズの幸水もしっかり並んでいました。

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↑ 夕方近くに伺ったので、もう1,000円の袋は売り切れー!毎日のように注文が殺到しているとのことで、配送用に詰められたオリジナル箱が山のように積み重なっています。

相変わらずご夫婦でとってもにこやかに対応されていまして、夕方の閉店間際だというのにひっきりなしにお客さんが訪れていた幸果園さん。
今年も甘みののった美味しい梨に仕上がっているとのこと、ぜひキレイになった直売所へ足を運んでみてはいかがですか?

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●幸果園(こうかえん) TEL(FAX)047-483-7348
千葉県八千代市村上750-15(地図
営業時間/9:30〜
駐車場/有り
梨もぎ体験/豊水の時期に希望があれば予約可。ただし、梨狩りツアーなどを盛んに行っているところのように、まんべんなく狩ることができるよう栽培していないので・・・とのことでした。要お問い合わせを!
※八千代ナビ!八千代の梨園マップはこちら

〔関連レポート〕
2013年10月20日 酸っぱいイメージを覆す!梨農家が本気で手掛けた奇跡のキウイフルーツ
posted by やちなび子 at 00:00 | Comment(2) |  >梨園 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月15日

【梨園レポート】丸勘梨園(まるかんなしえん)

八千代市には現在75軒の梨農家を束ねる梨業組合(りぎょうくみあい)があります。その組合長を現在なさっている宮崎憲夫さんが今回の訪ね先!直売所「丸勘(まるかん)梨園」へ、8月入ってすぐ頃にお伺いしてきました。

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丸勘梨園さんは、16号の米本交差点につながる県道沿い(村上のイズミヤに隣接した新川側の道)にあります。イズミヤ側から16号に向かうと、丁度ピピゴルフの看板がある交差点の左前方に大きな瓦屋根の長屋門があるんですが、それが直売所の目印!すぐ隣りに宮内公会堂や七百餘所神社があります。

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丸勘梨園さんは看板が無く梨の旗が木の陰からちらっと見えるだけなので、なかなか通りすがりで立ち寄るケースは少なそう・・・。
ちなみに長屋門の前の空きスペースが駐車場になっています。

長屋門のすぐ左にある小さな戸口から園内へ進むと、日差しを遮るようにキウイフルーツが生い茂っていて、すぐその下には梨の試食用テーブルの一角、そして隣り合わせの建物内でキレイに箱詰めされた梨が販売されていました。
ちなみにこのキウイは、梨園が終わりを迎える10月頃に収穫期を迎えるので、その頃いらっしゃるお客さんに配ってるそうです。

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丸勘梨園では“減農薬・減化学肥料”のエコファーマーを取得していますが、農薬使用量などの数値は、さらに厳しい千葉エコレベル!
バフンや堆肥、もみ殻などを2年寝かした有機肥料を使った土づくりのほか、市内でも広く使われている“害虫交信かく乱剤”(→詳細はこちら)で虫の被害を予防する取り組みなどを行っています。
この害虫交信かく乱剤は、人工のフェロモンで虫を混乱させることによって交尾・繁殖を阻害する、農薬ではなく匂いを利用した環境にやさしい手法です。けれども、一度虫の被害が広まったり、病気が発生してしまっては全く農薬無しで乗り越えることはかなり困難。そのため、農薬の使用を最小限に抑えるためには“観察と予察”が欠かせないそう。
『日々怠らずに木の様子を細かく観察し、今後どのような害虫が発生しそうか?病気が起こりやすそうか?という余察をきちんと行うことで、先手を打って対策できる。そうすることが、無駄に農薬を添加せずに済む一番の秘訣だね。』

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この丸勘梨園さんの魅力は、何と言っても取り扱っている梨の多さ!
幸水や豊水、新高といったメジャーな品種だけではなく、その他合わせて15種類もの梨を販売しているんです。大抵一品種につき2週間程度が目安のようで、ちょっと間を置いて尋ねるとガラッと商品が変わっているのも新鮮です。
「八君」や「若光」といった例年7月後半頃に出始めるものや、「愛宕(あたご)」という11月〜12月にかけて採れる梨の時期には、直売所が閉まっているので、電話やFAXで受け付けて個別に販売を行っているそうです。
販売されるこれらの梨は、すべて朝採りしたものばかり。もし売れ残っても翌日に持ち越すことなく市場へ卸してしまうので、直売所に陳列された品は常に新鮮そのもの!

さて、そんな丸勘梨園さんですが、私が訪れた8月はじめには、まだ出始めの「若光」が少し並んでいる程度でした。確か去年はもっと早い時期に写真を撮りにきていて、その時にはもう大玉がゴロゴロ並び、そろそろ終盤の頃だったような気がしましたが・・・。

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『例年に比べて春は気温が上がらず、幸水なんかも花の開花時期が4日ほど遅れていてね。全般的に収穫時期がかなりずれこんできているんだよ。しかも今年はいくらか水不足で大玉になりにくい状況。幸水はまだまだ小粒で色がつかないんで、どこも今年は8月中旬頃にならないとある程度の品が出てこないんじゃないかな。でも逆に、雨が少ない分糖度が上がって味は良いね。』

今日明日くらいに雨でも降ってくれれば違うんだけどね・・・と嘆くようにおっしゃっていましたが、そのくらい梨にとって“ひと雨”でも随分と生育に差が出るほど貴重なんだそうです。
特に今年の7月は思うように雨が降らなかったようで、地面が固すぎてセミが出て来れないんですって!だからセミの鳴き声がいつもより少ない感じがあったのかしら?
しかも、普通なら8月はじめにはムクドリも大発生なはずが、丸勘さんの梨園でも“6羽しかかかってない”というくらい全然被害がなかったよう。どうも気象がおかしいようだ、とポツリ。

中でも一番弱ってしまうのは、暑さが厳しいことだそう。日中30度以上もの状態がずっと続くと、中が腐ってしまう“芯ぐされ”を起こしてしまうこともあるようで、すでに果汁が漏れ出ていたり、もいでしばらく置いておけばすぐ痛んでくるので分かるそうですが、なかなか収穫のときには判断が難しいようです。
ちなみに、そうでなくとも実が熱くなった状態で箱詰めすれば熱がこもって痛んでしまうため、早朝にもいでしまうとのことでした。

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(昨年の写真/同じく若光。今回より数日前ですが、かなり色づきがよく大玉でした。)

もぐタイミングといえば、完全に100%熟した梨では全く日持ちがしないので、梨それぞれに合ったタイミングで収穫しているそうです。例えば、幸水はあまり日持ちがしないので7〜8割程度熟したところで収穫してしまいます。その程度でも、酸味の無い品種なので十分甘味が引き立つし、食感も良く美味しく感じるんですって。逆に豊水は、芯に酸味が伴うので、8〜9割熟した状態までもっていかないとダメなんだとか。
『9割も熟せば酸味が十分和らぐけれど、こういう酸味のある梨は青もぎしてしまうと、いくら後から色づいてもすっぱさは残ってしまうんだよ。実際のところ、糖度で比べれば幸水より俄然豊水のほうが高いし、きちんと熟してからもいだ実が出回れば今ほどイメージが悪くないと思うよ。それに、酸味は芯に近い部分に集中しているから、大玉なら芯までの果肉量が増えて酸味がさらに薄れる。
お盆の時期と収穫時期が重なるから幸水が売れるけど、豊水も同じ時期に出回っていたら、恐らく幸水の重要はこれほど伸びないかもしれない。ともあれ、豊水は直売所で本当の味が分かるはずだよ。』

ちなみに、幸水と豊水の中間くらいの品種もあります。特に幸水が好きな方にはオススメというのが「夏光」。幸水がどろっとした甘さなら、こっちはシャキッとした甘さ!今年は8月下旬くらいに旬を迎えるようですが、ぜひこちらもお試しあれ。

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幸水や豊水だけではなく、この“完熟の程度”というのは梨全般においてその味に大きな影響があるようです。昔ながらの梨で、今はあまり見かけなくなった「長十郎(ちょうじゅうろう)」でさえ、この完熟度合で全くの別物に大出世するようで・・・。
『長十郎っていうと、ガリガリ歯ごたえばかりで旨みが少ないように思っているかもしれないけれど、ほんとのおいしいのは最高に甘いんだよ。この品種はものすごく糖分が高くてね。長十郎の一番の食べ頃は、9割完熟した頃にもぐのがいちばん!ただ、全く日持ちがしなくてすぐに黒くなって実がふかふかになってしまうもんだから、大抵青もぎしてしまうんだよ。青もぎすればうまくないし、かといって完熟で収穫すれば賞味期限が短くて売るタイミングが難しい。なかなか市場に出回らない理由だね。』

ちなみに丸勘梨園さんでは販売してるんですか?
『いや、販売はしていないよ。1本は花粉を採るために残してあるけどね、幸水や豊水の授粉にはピッタリなんだよ。9月の中旬くらいに収穫期を迎えるんだけど、大抵うちで食べちゃうか、市内の焼き肉店なんかで欲しいという方がいたんで毎年あげてるよ。渡す先が二人とも焼肉のタレを作るのに欲しがっていて、両方から出来あがったタレをお返しに1年分もらうんだ。同じ梨を使ってるんだけれど味が違って、2種類楽しめるから楽しみでね。この長十郎は、砂糖を一切使わなくても濃厚な甘さが出せるくらい、糖度が高いってことだね。』

へぇー!!
そんな抜群に甘い長十郎、食べてみたーい!!
ということは、丸勘梨園さんが一番おいしいと思う梨って、実は長十郎なんですね。

『・・・いや、そりゃ違うな。』(違うんかい!)

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『一番うまい梨っていえば、やっぱり「秋月(あきづき)」だな。これもやっぱりほぼ100%完熟くらいにもいだやつが最高に美味しいんだよ!酸味は無くて、梨特有のつぶつぶした石細胞(せきさいぼう)がほとんど感じられないくらい食感が良くてね。丁度「若光」を甘ーくしたような感じだよ。ありゃうまいね。』
ちなみに秋月は丸勘梨園さんでも購入できますが、その完熟のタイミングがまちまちなので、予約をしておいて連絡を受けてから買いに行くほうが確実だそうです。
※2008年09月28日 梨「秋月(あきづき)」を食べました!

色々お伺いしていた中で、こんな興味深い話も耳にしました。
どうも、八千代の梨は“糖のバランス”が良いらしいんです。
『同じ数値の糖度でも、中のブドウ糖や加糖、ショ糖といったそれぞれの配分で味覚に差が出るようでね。科学的に調査したわけじゃないけど、どうも八千代の土地で出来た梨は、その糖のバランスが良いようで同じ糖度でも美味しく感じるみたいなんだよ。』

といっても、各園の立地や樹齢、育て方、もぐタイミングによって、やっぱり全然味が変わってきます。組合長でもいらっしゃるここ丸勘梨園の宮崎さんは、その基準ラインを維持して“八千代の梨”のブランド力を高めたいとおっしゃいます。
『商売を意識しすぎれば、売れて商品が無くなれば熟してない梨さえも売ろうと青もぎしたくなるし、全然売れない店なら売れ残りを鮮度が落ちても次の日にまわしてしまいたくなるものだよ。ここをぐっと我慢して、八千代はどの直売所でも適度に熟した朝採り梨が買えるという絶対的な状況を維持できなければ、お客さんからの信頼も損なうことになってしまうからね。』

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そんな美味しい八千代の梨が一堂に会する「梨の共進会」が、今年も平成20年は8/18(月)に緑が丘イオンで行われます(→早耳情報はこちら)
今年は「幸水」が対象品種になるんですよね。

『去年は大玉になりやすい豊水だから4Lサイズが出品基準だったけれど、今年は幸水で粒がわりと小さめな品種なので3Lになる予定だよ。あんまり発育状況が進まなければ、2Lになるかもしれないけれど・・・。それより準備期間が17〜18日となると、お盆で幸水の販売が最盛期を迎える頃だから、どこも準備が大変な状況。去年は日程の関係で8月末になったのでたまたま豊水になったけど、出品者側も落ち着いていて大変やりやすい状況だったから、もしかしたら幸水で共進会をやるのは今年が最後かもしれないねぇ・・・。』
ちなみに、今年の表彰は園芸協会の表彰式と一緒に別日程で行われるため、去年のようにイオンで市長が表彰したりすることはないそうです。

今回のお話を伺って、丸勘梨園のことだけではなく、八千代の梨全般を常に気遣っていることがひしひしと伝わってきました。そんな宮崎憲夫さんが手掛ける梨を、ぜひ一度口にしてみてはいかがですか?
私的には、その超うまい!という秋月を食べてみたい・・・。

●丸勘梨園(まるかんなしえん) TEL(FAX)047-483-2739
千葉県八千代市村上428(地図
営業時間/10:00〜18:00(盆過ぎは17:00頃)
駐車場/有り
※八千代ナビ!八千代の梨園マップはこちら
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