2007年09月26日

道の駅やちよの農産物直売所「クラフト」

先日、なび夫さんの会社の方から突然のお電話が。

「八千代まで来ているんだけれど、道の駅ってどの辺ですか?」
千葉方面に用事があったので、ついでに野菜を買いに八千代へ寄ったんだとか。

近隣市はもとより、県外からもわざわざやってくるという評判の高い道の駅やちよ。
そんな皆さんのお目当ては、八千代ふるさとステーション内にある農産物直売所なんです。「新鮮でバラエティに富んだ野菜やお米が安く手に入る」ということで、平日でも午前中から人が絶えることがありません。
道の駅といえば、国土交通省が道路を利用する人への休憩所として、またその地域の観光情報や食事、土産物などを提供する場として全国各地に設置している施設ですが、駐車場やトイレ、情報提供など基本的なものは標準設備として設けられているものの、物産品などの充実度やその他付加施設は多種多様。温泉施設や美術館など独自色を打ち出す道の駅がある中、ここ八千代の目玉は何と言っても充実した直売所!ここまで活気溢れる直売所を設けている道の駅は珍しい・・・いやいや、こんなに成功している直売所自体、全国でも例を見ないほどなんだそうです。
市内には道の駅をはじめ、JAグリーンハウスなどの直売所が身近にあるので特別気にしたこともなかったのですが、実は八千代って、とっても恵まれた環境にあるらしかった!

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知ってました?
そもそも、この直売所って農協が運営しているんじゃないんですって。10年前に千葉で3番目の道の駅としてここの建物が完成したとき、直売所を併設したい!と地元農家10名が集まって農事組合法人「クラフト」という会社を興し、道の駅やちよを管理している八千代市と契約。八千代市で初めての農産物直売所として、出店に至ったそうです。
「当時、農作物を販売するルートとしては、市場に卸すか行商しか方法がありませんでした。」とお話してくださったのは、ここ「クラフト」を運営しているメンバーのお一人。

「当初は、こういう農産物の直売なんて認知されていませんでしたからね。まさか成功するなんて思われておらず、この道の駅に出店が決まる前にも色々と市内の場所に持ちかけましたが、ことごとく断られたんですよ。いざ道の駅で始めるにあたり、農作物を販売してくれる農家を募りましたが、これもまた30名程度しか会員が集まりませんでした。
スタートしてみれば、市内の方々はもちろん遠くからも買いに来てくださる方が大勢いらっしゃり、その盛況ぶりが話題を呼んであっという間に会員数も100名にのぼりました。」

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成功の秘訣は色々あるようですが、とにかく手数料が安くて農家の方々が安心して出品できるということも要因のひとつだそう。とある直売所では「1万円分販売しても、手数料だ何だと引かれて5千円しか戻らなかった。」という話があるほど、明瞭会計には程遠い店舗運営をしているところもあるんですって。また、出品するための手数料を高く設定している直売所では、どうしても価格に上乗せせざるを得なくなり、結果客足が遠のいてしまったり。そうなると、その直売所自体を農家の方が利用しなくなってしまい、品数が自然と減ってしまうので、さらに人が集まらなくなってしまう・・・という負のスパイラルによって、結局直売所自体が成り立たなくなるケースが少なくないそうです。
一方、そうした問題がクリアに解決されている道の駅やちよの直売所は、まれに見る大成功例。他の店舗が「こんなにも農作物が集まってくるのか!」と驚かれるほど、ここは農家の方々にとっても絶好の販売ルートとなっているわけですね。

さて、そんな奇跡の直売所「クラフト」の見どころ&ポイントを、お伺いしてまいりました。いつも何気なく利用している八千代市民も、へー!と思わず言わずにいられない、直売所トリビアを交えてお送りいたしましょう。

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トリビアその1
「道の駅やちよの直売所は農協ではないので、会員の中には八千代以外の農家の方がいる。」

直売所「クラフト」は会社なので、八千代限定にしなくても大丈夫。100名の会員構成は、主に八千代市内の農家ではあるそうですが、市内では不十分な農産物を近隣市の農家会員さんに補完してもらうことで、いつでも豊富な種類を取り揃えることが出来るわけです。
「八街市の農家からは、うまいと評判の八街スイカを出品してもらっています。農作物だけではなく、千葉で養豚をやっている会員さんが、新鮮で安全な肉を出品したりもしてますよ。」

クラフトでは、会員数を制限していながらも正規スペースだけでは足りず、隣接している部屋(元々会議室として用意された場所だそうですが)を借りて、ここにも時季折々の野菜や果物を並べています。
この部屋中央に置き並べられているコンテナは、ほぼ八千代産の品ばかりですが、会員の出品物だけは補えない野菜がある場合は、市場で買ってきたりもするそうです。ちなみにこの日は、大根が北海道産のものでカバーしてあり、壁際のほうでひっそりと販売されていました。

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最近どのスーパーでも取扱い始めた流行りの「顔の見える農産物」。そのさきがけとも言えるのが、こうした生産者の名前が印字された直売所のパッケージです。同じ作物を数軒の農家の方が出品していることも多く、コンテナごとに書かれている名前が違っていたりします。
生産者自身が1袋あたりの量や価格をつけられるので、コンテナによって内容も値段もまちまちだとか。といっても、大幅に違うというわけではなく、数十円程度の差。
「誰かが値段をつければ、じゃあうちも・・・と、何となく足並みが揃ってしまうようです。価格的には、市場よりは高めだけれどスーパーよりは安いといった感じだと思いますよ。」

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今は大分落ち着いてきましたが、幸水がピークを迎えるころは梨の箱で溢れんばかりの状態になるそう!今日は4〜5軒の新高や20世紀などが販売されていましたが、品種の多さも目玉のひとつ。なかなかひとつの直売所では手に入らないものが色々と集まってくるので、多い時には10品種ほどがここで購入できるんだとか。
「八千代の梨園マップ(→こちら)」でも紹介したエコファーマーですが、このクラフトでは梨だけではなく販売する農作物全般において取り組んでいらっしゃるそうです。
(※エコファーマー:環境と調和のとれた持続的な農業を行うため有機物を利用した土づくり、化学肥料低減、化学農薬低減の技術を組み合わせて、環境にやさしい農業に取り組んでいる農業者のこと)

品質・安全性を追求している生産者、その生産者が分かる商品。今まさに消費者が求めている「食の安心」が、このクラフトでは自然な形で提供され続けてきたという事実、これが八千代で直売所ミラクルを巻き起こした要素のひとつに違いありませぬ。
消費者ニーズにぴったりマッチ、流行らないわけが無い!

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トリビアその2
「野菜だけではなく、実はお米の売れ行きがすごく良い。」

クラフトには、八千代市内で収穫されたコシヒカリやミルキークィーン、あきたこまち、ひとめぼれといった数種類のお米が用意されています。一足早く8月に新米が出回るという、香りが豊かなふさおとめや新品種のふさこがねなども販売されていました。
やっぱり一番人気はコシヒカリですか?
「うーん、そうでもないですね。ミルキークィーンなんかは、冷めても水分が飛びすぎないのでお弁当に向いていると人気が高いですよ。この直売所には、市内の米農家が40軒近く会員として登録されているんですが、皆さん毎朝精米したばかりのものを3kg若しくは5kgの袋に詰めて棚に並べています。」

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新潟や東北地方のように名産地として知られてはいませんが、八千代産のお米もなかなかのものですよ。ここに置いてある米は、一切混ぜものもしていませんし、とお米の人気振りも紹介してくれました。

同じ八千代の土地で収穫されたお米ですが、同品種でも生産者ごとに味が違うんですって。川を挟むと味が変わったり・・・。日本人はやっぱり米の味の違いには敏感!
「皆さん色々と食べ比べていらっしゃるみたいですよ。好みは人それぞれですが、それでも不思議と売れ筋のお米っていうのが出てきますね。特にそれを一押ししているわけではないんですが、口コミもあるようです。」

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私はお米を直売所で購入したことがなく、何となく高いイメージがありましたが、よくよく見てみれば5kgで2,000円前後と、スーパーで販売されている価格とさほど変わりません。
3kgとか袋売りではなく、好きな量を好きなつき方で精米することもできるそう。その場合は、各農家から選ぶことはできませんが、こちらで置いている「やちよ米本」という米を無料で精米してもらえます。(お店の方に購入したい量とつき方をお伝えすればOK!)
ちなみに、玄米やもち米なども置いてありますよ。

こうしたお米やもち米、農作物などが売り捌ききれない方は、お弁当やモチなど加工品にし、保健所の許可を得て販売しているんですって。

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八千代産のもち米を100%使用したモチやかきもち、玄米もちなど、これもまたバラエティ豊かなラインナップ。触ってみると、思いのほか柔らかい!!これを焼いたり煮たりしていただきます。やっぱり市販のお餅を食べ慣れてしまうと、こういうもち米100%のちゃんとしたお餅の濃厚さは感激ですよね。これからの季節、お雑煮やおしるこにも良さそう!

トリビアその3
「夕方のタイムサービスは、出品している各農家の方々が独自に価格を下げている。」

出品した品物は、会員農家の方自身が好きに価格を下げたりできるそうです。その日売れなかったお弁当などは持ち帰らないといけません。そうならないように、若干少なめに用意したり、タイムサービスで売り切れるよう価格を下げるんですって。なので、あまりタイムサービスを狙い過ぎると、完売していることもあるのでお気をつけて・・・。ちなみに午後15時には少なーくなってました。
「家に持ち帰ると、大抵はその家の夕飯になりますね。お赤飯をお弁当コーナーに出品している方は、『今日こそは夕ごはんに白飯が食べたいから、赤飯は持って帰らないぞー!』と売り捌くのに必死だったりしてますよ。」

うーん、切実。

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こうしたお惣菜やお弁当は、お昼に揃うように用意されているんですか?
「いや、朝イチから並べていますよ。ただ、陳列ははじめからこの冷蔵棚なんです。以前全国的にO157が流行った時に、保健所から冷蔵保管するよう指導がありまして。オススメは朝イチのホカホカを召し上がっていただくことでしょうか。」

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総菜やお弁当だけでなく、豆腐や油揚げ、厚揚げなどの加工品、自家製の味噌なども置いてあります。豆腐ひとつとっても、いろいろな種類が用意されていて選びきれません!
お、これは噂の千葉養豚場の方が持って来られた豚肉かしら?
漬物棚には、冬場になってくると白菜や大根などの漬物が溢れんばかりに陳列されるんですって。ちなみにぬか漬けは一年中置いてあるそうです。

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トリビアその4
「クラフトには、千葉の酒が揃っている」

あの「八千代桜」も一升瓶からミニタイプまでずらり。お酒だけではなく、黒酢や梨などの果物を使った珍しいお酢も並べられていました。

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トリビアその5
「ここの焼き芋は1本100円!」

もう間もなくどこの店先でも焼き芋が売られる、誘惑シーズンが始まります。この直売所でもお酒売り場近くで焼き芋を販売するそうですが、価格は利益度外視のサービス品!
安い!
サツマイモ自体はもう収穫され始めていますが、今はまだ水分が多くてベタベタしてしまうので、うま味も乗ってくる10月頃から販売予定だそうです。

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販売スペースが限られているということもあって、100名で募集を打ち切っているクラフトの会員さん。その多くの方々は60代で、あと10年も経てば仕事が出来なくなる人も出てくるということで、八千代の農業発展のためにも若い世代の会員を募集したいとおっしゃっています。
「親世代が働けなくなっても、そのまま代替わりで親の会員権利を引き継ぐ若者世代もいると思いますが、今からでも若い方々に会員募集をして、さらに活気付かせたいと考えています。
実はこの八千代市っていうのは、他に比べて後継者が多いんです。このクラフトをオープンして以降、市内にはJAグリーンハウスなどの直売所も増えてきていますし、市場だけに頼ることなく販売できるツールに広がりがあることが後押ししていると思いますよ。
それだけ売れるってことですからね。
八千代の農業を支えている若者の働きをみれば、負けていられん!と年寄りの腰も伸びますよ。」

“今の八千代は農業を営むのに恵まれた環境にある”と言えるのも、売れるはずがないという声にも負けず、先駆けて直売所「クラフト」を始めてくれた功績が大きいはず!
市内に住んでいると、つい身近すぎて気付かなかった直売所の有り難さを、改めて感じたのでありました。

それにしても、農協じゃないってことが衝撃。今まで「道の駅の農協」と言ってたけど、今度からクラフトって呼ばなきゃだわ。

●八千代ふるさとステーション 農産物直売所「クラフト」 047-488-3188
千葉県八千代市米本4905-1道の駅「やちよ」八千代ふるさとステーション内(地図
営業時間/9:30〜18:00(4月〜9月は〜18:30まで)
定休日/第2月曜日
【交通手段】
(バス)@京成電鉄「勝田台駅」より米本団地行き(約25分)A東葉高速鉄道「八千代中央駅」から米本団地行き(約20分)※@Aいずれも終点米本団地下車 徒歩約5分B公共施設循環バス「ぐるっと号」でふるさとステーション下車
〔関連レポート〕
クラフトのオススメ食材(季節毎に公開)/http://yachiyonavishop.seesaa.net/category/4396234-1.html


posted by やちなび子 at 00:00 | Comment(4) |  >スーパー・生鮮食品店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
てっきり農協が運営してるもんだと思ってました。驚きです。
ここの野菜はとにかく新鮮で、良心的な値段だし、人気が出るのも頷けます。

素人目で考えると、産直販売って別に難しいことじゃなさそうだから、どこでもできそうなのに
実際あそこまで充実しているものは、なかなか無かった。
その裏に農家の方にもメリットのある仕組みがあったことも解りました。
なかなか勉強になりますこのレポート。

地元住民としては、最初を切り開いた10人の農家の方々に感謝ですね。また行ってみます。
Posted by 野良 at 2007年10月11日 13:28
>野良さん
コメント有難うございます^^私も先日また行ってきました。15時位だったので、総菜系はほとんど売り切れていましたが、残ったものは値引きされていて(半値など)かなりお買い得価格でした。
焼き芋もすでにスタートしていました!自分でトングで選んで袋にいれて、会計の際にまとめて清算しましたよ。
Posted by やちなび子 at 2007年10月12日 17:39
今まで何気なく立ち寄っていましたが、
今回のレポートでとても勉強になりました!
地元の努力があってこそ活気付くものですよね。最初に立ち上げた方々の熱意と努力に感謝です。
農家の方も消費者も、お互いにとって満足できる場所であって欲しいですし、
あらゆる面でそういう意識が感じられる八千代市でありたいです!

早く焼き芋買いに行きたいです♪
Posted by ミー at 2007年10月17日 11:00
>ミーさん
コメント有難うございました!(すみません、承認作業が遅れてしまい、最初に送っていただいたものは重複してしまうので削除してしまいました。)
ほんとに、こういう便利で使いやすいモノ・コトのはじまりには、こうした方々の努力やアイデアがあってこそですよね。私も何気なく利用していたので、今回レポートを書いてからは、この道の駅の直売所の見方が変わりました!
焼き芋は、私が買いに行ったときは16時近くで、もう小さめのものしか残っていなくて、ちょっと時間も経ってしまっていました。やっぱり賢い直売所利用方法は早め早めが良いみたいです!!
Posted by やちなび子 at 2007年10月17日 17:34
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