“合気道”は、武道の一種だという程度の認識しかなかった私。どんな格好でやるのか?何の練習をするのか?といったような、もう初歩の初歩から全く無知なまま、案内された体育館奥の第1武道室へと向かいました。
柔道場として作られた部屋だそうで、敷き詰められた畳に似たマットの上に座っていると、皆さんが動くたびにドゥンドゥンと地震のような鈍い振動が伝わってきます。倒れ込んでも怪我をしないように工夫されているんですよね。
私は初めて柔道場に座ったので、初めは「まさかまた地震?!」とかなり動揺してました・・・。
↑ スリッパを脱いで裸足で道場へ上がります。円明会の皆さんは、必ず上へあがる前に正座をして、深々と一礼されていました。
↑ 畳のようですが、触るとビニール製のようなペッタリした1枚のマット。高い天井には空調機器が備え付けられていて、真夏ですが快適な練習場所です。
普段は20名ほど生徒さんがいらっしゃるそうですが、この日は半数程度に加えて3名の体験レッスン生が集まっていました。生徒さんの年齢層は大変幅広く、多いのは20代〜30代の社会人男性ですが、中には若い女性の方や主婦の方、小学生や中学生のお子さん、さらには68歳で未経験者の生徒さんもいらっしゃるんですって!
今はお休みされていますが、少し前までフランス人、インド人、中国人の生徒さんも!合気道を習いつつ国際交流まで出来て、稽古後にお茶をしながら外国語レッスン状態になっていたんだとか。
↑ 稽古開始!道場前に掲げられた開祖 植芝盛平翁のお写真に向かって深々とお辞儀。
体格の良い方も多いし、稽古着をまとっていて何だか皆さん経験者の方が多いのかと思っていましたが、実は全員未経験だったんですって!
『合気道は全く力を使わないんです。人間の体の動きや相手の力を利用するので、筋肉をつけるようなこともいりません。ですから、女性や子供、高齢の方でも同じ内容を学ぶことができるようになっています。何歳からでも始められますし、合気道は左右同じ動きを繰り返すので体を歪みを取ったり、受け身で転がることが多いので骨格矯正にも良いとされています。また、柔軟性や適度な運動が健康維持としてのスポーツとして性別・年齢問わず受け入れられていますよ。』
何より驚いたのが、「試合をしない」という一言!
武道ですから当然試合があるものだとばかり思っていたのですが、合気道の精神には勝負をつけるための手段ではなく、武術を用いながらも“合気道の技を通して敵との対立を解消する”という目的があるそうなのです。
チェスと将棋で例えていた話がとても心に残りました。
『チェスは相手のコマを取ったら使うことは出来ませんが、将棋は敵として向かってきたコマを今度は自分のものとして利用出来ます。言わばチェスは奪ったコマを殺し、将棋は相手を許して味方につけるわけです。捕えた敵を殺すつもりなら仰向けに押さえつけたほうがすぐに首を切ることができるので合理的ですが、合気道は必ずうつ伏せで押さえつけます。これは紐で手首を結わえやすくするため。“もう悪いことはしないね?”と確認し、敵意向き出しだった相手をも平和的に味方につけるくらいに、広くゆとりのある心が基本にあるのです。』
↑ 刀で向かってきた相手の力をうまく受け流し・・・
↑ 最後は必ずうつ伏せで捕えます。
合気道の練習は、二人一組になって向かってきた相手をいかに力に頼らず受け流すかという“形(かた)”を繰り返すことがメインになっています。
左右同じことを行い、さらに必ず受ける側、倒される側と両方を順番に担当します。
いかに力に頼らないかがわかるのが、中学生の男の子が黒帯の方と組んでいたり、細く若い女性が大柄の男性を組んでいたりする様子からも窺い知れます。
↑ 組む相手は特に決まっていません。ただ、沢山汗を流したい!思い切り受け身を取ってほしい!という方は黒帯の方にお願いしたり、そのときどきの自分の体調に合わせて、無理なく稽古を行います。
合気道も段級位制があって、より多くの技を受けたりかけたり出来たり、技の流れがスムーズに行えているかなどといった視点で審査されるそうです。黒帯の方のうち数人は八千代円明会代表の鈴木氏のお手伝いに来ていただいるサポート役だそうで、生徒さんと一緒になって稽古をしつつやり方を誘導してくれます。
『合気道は稽古をする相手に対して、取り組み前後に座礼を行ったり、道場へ入る際や稽古の初めと終わりに正面に向かって一礼するなどといった礼法はありますが、他の武道のような細かい礼法は基本的には定められていません。そして、取り組みの内容は予めお互いで決めておく“約束稽古”が基本です。その見本を確認したうえで、何度も取り組みを行って体に技を染み込ませます。
難しい礼法も、無理に体を痛めるような稽古もありませんから、今日も体験にいらっしゃった方がいますが、初めてでも他の皆さんと一緒に進められるんですよ。』
↑ 体験の方は運動しやすい恰好で参加。手取り足取り、やり方を教えていただいたあとは何度も繰り返し練習します。黒帯の方が足の位置など具体的にアドバイスする様子も。
私も護身術となるような技を教えていただいたのですが、本当になんで?!と思うくらい力を入れないのに、コツだけを教わるだけで男性が簡単に倒れ込むんです。
逆に力まかせに同じことをしようとしても、全然ダメ!
『逆関節で痛みを与えても、結構人は我慢できるんです。むしろ曲がる方曲がる方に相手を誘導していくと、自然と体が痛みを逃がそうとして立っていられなくなるのです。相手を倒すには“いかに相手の重心を崩すか”がポイントになりますが、合気道の場合は力に対して力で勝とうとしてはいけません。いかに相手の体のつくりを理解するか?といった理論的な技掛けがポイントになるのです。』
皆さんの取り組みを見ていると、つい受け身の方が自分から倒れているように思えてしまうのですが、実際に自分でチャレンジしたり技をかけられるとそんな考えは一掃されてしまいました。
的確な技がかけられると、こんなにも人間って簡単に倒されてしまうんだ!
ほんとに衝撃的です。
↑ 成人男性が、こんないとも簡単に倒されるものなの?!黒帯五段の代表と弐段の方との鮮やかで豪快な取り組みは、時代劇の殺陣シーンでもみているかのような迫力です。
約90分もの稽古中、皆さん何度も水を飲んだりされていました。額からは粒の汗がぎっしり!
力は使わないとはいえ、大きな動きが続く取り組みはかなり良い運動になるようです。
みっちり練習を重ねて、再び中央に集まって座礼を行う頃にはすっかり皆さんストレス発散!すがすがしさが伝わってくるようでした。
精神的な高みを目指す現代武道。
ぜひ一度体験してみてはいかがですか?
そうそう、ちなみに私。
帰ってからホクホクしながら、丁度居合わせた実家の父に「正面から右手首をつかんでみて!」と護身術を実践してみました。
が・・・あれ、左足が前で、この位置から手を回し込んで・・・お父さん!もう少し右側からつかんでみて!と、本当だったらあっという間に捕まってしまっている状態でしたわ。
しかも教えていただいた時のように、うまく技がかからない!?
『技がとっさの時にも自然と使えるくらい、実践で生かせるようになるには10年位かかりますよ。』
という言葉が、心にグサリ。
やっぱり付け焼刃じゃダメなのねー。でも、代表の鈴木氏曰く、合気道を習っていると自然と危険から身を遠ざける意識が高まるんだそうです。鞄を意識せずに壁側に持ったり、危なそうな人とは正面からすれ違わないようになったり・・・。
合気道は女性人口も多いと聞きますが、身を守るためにも、そして何より響きがうれしい“骨格矯正”なんていう効果もあるとのことだし、男性だけではなく女性にもおすすめの習い事ですよ!
●合気道 八千代円明会
【募集対象】八千代市および近郊に在住・在勤・在学で中学生以上の方
※保護者と一緒に稽古できる小学生も可
【稽古場所】八千代市市民体育館(地図)
※同体育館が利用できない時は、場所が変更になります。
【日時】11:00〜13:00/毎週日曜日⇒詳細日程・場所はこちら
【内容】合気道はまったく初めてという方から有段者まで楽しく稽古しています。
【費用】入会金/2,000円(1名につき)、月会費/大人2,000円・学生1,000円・家族3,000円
※その他、体育館利用料(水曜日は個人利用料が必要・市内の方250円、市外の方370円)及びスポーツ安全保険(4月1日〜3月30日分・高校生以上1,600円、中学生600円)がかかります。
【問い合わせ】メールアドレス aikido@aiki10.com(担当/鈴木)
【ホームページ】http://aiki10.com/