2010年02月11日

陶磁器の店 山椒房(さんしょうぼう)

勝田台駅からほど近く、黒澤之池公園のほとりに貝殻亭リゾートという“食”に関する店舗が集まる一角があります。今回ご紹介するのは、そのうちの1軒、陶磁器やガラス製品など食器を扱うお店「山椒房(さんしょうぼう)」。貝殻亭リゾートを運営している(株)GPIさんのレポートで、“職人の物作り魂を尊重し、生涯にわたり使い続けられる一生物を収集・普及する専門店”としてチラッとご紹介したお店です。
⇒2009年12月02日 地元八千代の頑張り企業!(株)GPIって?

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古き良き日本の伝統工芸品を、後世まで伝えていきたい!ということで、陶磁器やガラス製品などを販売している山椒房さんですが、“砥部焼き(とべやき)”という磁器が売り場の大半を占めています。
砥部焼きとは、愛媛県伊予郡にある砥部町で作られている磁器の焼き物なんですが、有名磁器が大量生産されている今もなお、ひとつひとつ時間をかけて昔ながらの職人技によって手作りされているのが特長です。

松山空港からクルマで30分程度の山間にある小さな町ですが、砥部焼は四国一の生産額をあげているほど!焼き物の原料となる土、そして窯に火を入れるための燃料となるアカマツに恵まれ、そして登り窯(地形を利用した重力による燃焼ガスの対流を使った陶磁器の焼成に必要な窯)を設置するのに最適な傾斜地を多く持つという、焼き物とともに歴史を刻んできた町です。

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焼き上がりの作品に一点の灰が付着しても表へ出したくない!という、熱意溢れる窯元が居並ぶ砥部町では、効率化の波にさらされることなく貴重な伝統文化が育まれ続けています。けれども、手作り・手描きによる家内操業がほとんどの砥部焼きは、大量生産で安く出回る陶磁器に圧されて、最盛期の6〜7割にまで生産量が落ち込んでしまっているのだそう。
海外でも、ロンドンの展示会で高い評価を受けたという砥部焼きですが、ぜひ日本焼物を日本の中で継承していきたい!良さを広めたい!という願いを込めて、あえて千葉県八千代市の山椒房で砥部焼きを取り扱い始めたということなんです。

砥部町には80ほどの窯元さんがあるんですが、各窯元によってオリジナルの柄や得意とする風合いが違うので、“砥部焼き”と一口に言っても種類は本当に豊富!このお茶碗にはこの柄を・・・なーんて、揃え始めると止まらないコレクション心をくすぐるオーラがあるらしく、全国各地に砥部焼きファンが沢山いらっしゃるとか。
一方、大量生産出来ないこともあって買える場所はごくわずか。デパートの食器売り場でだってなかなか手に入らないんです。
関東地区の百貨店でも常設しているところはなく、例えば銀座マツヤさんで1月〜2月頃に毎年数日間限定で砥部焼きフェアを開催しているくらいなんですって!独自で仕入れて販売しているお店も関東近辺には点在しているようなんですが、そうした中でも山椒房の品揃えは群を抜いています。15もの窯元さんの作品を扱っているという充実振りで、これだけの品数はなんと、関東一!
千葉にお住まいの方がわざわざ他県へ買いに行っていたそうで、この山椒房を知って『こんな近くにあったなんて!しかも圧倒的に品数も多い!』と驚嘆されていたとか。

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そんな貴重な砥部焼きを豊富に取り揃えている山椒房。
その外観は、お店だと聞いてなければフラッと中に入って・・・なんて気も起こらないくらい、住宅街に溶け込んだ一軒家です。とはいっても、一般的な戸建てに比べたらすごく個性的でお洒落!

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↑ この看板は砥部焼きの破片が埋め込まれて出来たもの。貝殻亭リゾートのあちこちで、廃材として譲り受けた砥部焼きが飾りとして再利用されています。

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↑ 入口手前に置かれた銀食器にも“150円”など値札が・・・。これは洗って使うってこと??
『いやいや、ガーデニングのモチーフなどに利用していただくんですよ!古い食器もちょっとしたアクセントに使えるんです。さすがに食卓には・・・。』


店内に入ると、オルゴールの癒し系BGMとともに、窯元別にバランスよく配置された砥部焼きの空間が広がっていて、何だか函館とか軽井沢によくある美術館にでもいるような雰囲気!
ちなみに2階建てですが、上は事務所スペースなので1階部分のみが店舗となっています。

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各窯元さんのブース前には、名称や得意な模様、作風などが紹介されていて、雰囲気だけではなく本当に美術館的な愉しみ方も出来そう!

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↑ 青達窯(せいたつがま)のブースの一部。繊細なデザインが特徴で、動物やポピーの柄が可愛らしい!

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↑ 禎山窯(ていざんがま)のブースの一部。ふくろうや葡萄をモチーフとした柄が人気。葡萄柄のコーヒーカップセットなんて、洋風テイストだけど和に馴染んでいて素敵!

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砥部焼きの魅力って何ですか?
『それこそ200年以上もの歴史を持つ焼き物ですが、来客の折に使うだけというよりは、普段使いの中で良さを感じられる器であることでしょうか。シンプルで素朴、だけれどもどこかモダンなデザインで、何ともいえない暖かみがあります。見た目だけではなく、大変丈夫で保温性もありますから、日常的に使いたくなる実用性も兼ねています。
貝殻亭の業務用食器洗浄機にいくら入れたって割れたりしません。むしろ他の食器と一緒に入れるとそちらのほうがダメになるくらいで。中には20年以上も使い続けているお皿があるんですよ。
ご家庭でも大変長持ちして愛着のある食器になると思います。“ひとつのものを長く使う”という愉しみを、きっとこの砥部焼きが与えてくれるはずですよ。』

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↑ 白磁に描かれた藍色の絵模様(呉須絵(ごすえ))や素地の白さに調和した色絵、やや厚手でシンプルな形と材質の堅さに砥部焼の特色があります。 藍色の呉須絵は上から釉薬が施されていて、長年洗っていても剥げることがないそう。

砥部焼きの代表的な唐草文や葡萄文、なずな文といった伝統的な柄を得意とする窯元さん、動物や花など従来の砥部焼きには無い斬新なデザインを施す窯元さん、そして女性陶芸師による独特な雰囲気を醸し出す洋風な作品の数々。
約80ほどの窯元さんそれぞれで、オリジナリティ溢れる手描きによる絵付けがなされていて、一口に砥部焼きといっても実際には選びきれないほど種類が豊富なんです。
山椒房ではそのうちの15軒の窯元さんとお付き合いがあり、年2回ほど砥部町へ行って仕入れを行っています。貴重な作品を実際に目で見て、触れてみて、直接窯元さんに注文をするそう。すぐに入荷されるものもありますが、その多くは注文生産品。夏に依頼したものが、冬になってようやく納品されるということも・・・。

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実際に手にとってみました。
物によって差はあるものの、基本的にはどれも厚めでやや重めではありますが、手にしっくりと馴染む感覚があって嫌な重さではありません。この厚みが、特にお茶碗やマグカップなど直接口をつける食器の場合、口当たりが柔らかくてとても好評なんだとか!

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これだけ数多くの種類が揃っていると、何から手をつけていこうか悩みますね。お皿だと最低5枚は欲しいし・・・。
何かオススメな商品はあるんですか?
『それなら、マグカップなどから入るのがいいですよ。ひとつからでも、手に持ったときの感触や口当たり、柄や色合いなどを楽しめます。また、大皿や深めの器などもひとつあると何かと重宝しますよ。』

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砥部焼きの品は、家庭用だけではなく母の日や父の日、敬老の日など何か記念となるようなプレゼントとしても大変人気だそう。特に、大西陶芸さんのお食い初めセット「ひよこ」シリーズは、お孫さんへのプレゼントとしてよく購入される商品のひとつなんですって!

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↑ このセット一式で7,455円。名入れも出来るそうです(別途、名入れ代1,260円がかかります)。ひよこシリーズはストックがあるそうで、名入れ無しならその場で手に入ります。

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↑ セット以外にも、大西陶芸さんのコーナーには単品の子供用食器も置いてあります。丈夫な食器だから、お子さんにも安心して渡せそう!

そのほか、青達窯さんが手がける記念プレートなどもあるようです。こちらは完全オーダー品なので、早くて1ヶ月半〜3ヶ月ほどかかるとか。
納品期間に、何でそんなに幅があるんでしょうか?

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『ある程度まとまった量がなければ窯での焼きの調節が難しいため、注文された品だけ焼くわけにはいかないのです。タイミングが良ければすぐに焼きの工程へ移るので、その分納品も早いのですが・・・。そもそも、砥部の窯元さんで企業的な組織として成り立っているのは梅山窯さんくらいで、多くは家内操業で焼き物作りを行っていますから、とにかく作品ひとつ作るのにも時間がかかるのです。しかも、どの窯元さんもこだわりを持って取り組んでいますから、納得のいく作品に仕上がるまで何度も何度も作り直す、なんてこともザラなんですよ。』

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↑ 梅山窯(ばいざんがま)さんのブースの一部。他のブースとは比べものにならないくらい、作品の種類も量も半端ない!砥部焼きの窯元では最も大きく“梅野製陶所”という会社として成り立っています。家業を継ぐ前の修行先として受け入れるケースが多いとか。

スタッフの方から、こんな心に残るお話も伺いました。
『私の家の食器は砥部焼だらけで、子供も砥部焼で育ったんですよ。家族の食卓は砥部焼で彩られ、一家団欒を砥部焼で楽しんだものです。子供が巣立った今となっては、当時子供が使っていた砥部焼の食器を見ては、楽しかった一家団欒を思いだしています。』
丈夫で使いやすく、長く愛用し続けられる砥部焼に、いつの間にか大切な思い出までもが一緒に込められていたんですね。
西岡工房の西岡氏曰く、“物質に宿る精神的付加価値”なのだそう。まさにこれこそプライスレス!

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↑ 日々の作品作りにてんてこ舞いな窯元さんも、山椒房さんとは本当に深いお付き合いなんだなぁ・・・と思わされる品を発見。洋菓子店ソレイユのシンボルマークが砥部焼きで作られているという、まさに特注品!ちなみに裏はバッヂになっていて、数百円で購入もできます。こんな遊び心満載な商品が置けるのも、山椒房と窯元さんとの信頼関係があってこそ!

山椒房では、砥部焼きのほかにも中世陶芸の津軽・烏城焼(うじょうやき)や、九十九里にあるアートガラスを得意とする菅原(すがはら)工芸硝子の色鮮やかな作品も置かれています。
『世界に誇る日本の伝統工芸品。山椒房では、それらを手がける職人の方々の想い、そして歴史が育んだ日本文化を伝えていければと思っています。』

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↑ 釉薬を一切使用せず、自然釉(窯の中で薪の灰が作品に付着し、それが高温になって融けたもの)で仕上げるのが特徴の烏城焼。今井理桂(りけい)氏が手掛ける陶器が置かれています。

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↑ 3000種類以上もの商品を製造しているスガハラ硝子。職人さん自身がデザイナーとなってモノづくりに取り組まれています。

昨年2009年7月に、砥部焼きを20年以上も広め続けている貝殻亭リゾートは、なんと「砥部焼大使」に任命されたんですって!その記念として、貝殻亭リゾート各店舗では「第一回 関東砥部焼祭りin貝殻亭リゾート」というイベントを開催中です。
2月1日から末まで行われる愛媛県松山と砥部の“砥部祭り”を関東でも楽しむべく、イベント期間は2010年1月20日(水)〜2月15日(月)と、実はもう終了間近ではあるんですが・・・恐らく来年以降も開催される可能性大?ということで、今回のイベント内容を参考までにご紹介しましょう。

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山椒房
1月下旬頃から山椒房ではお雛様、そして端午の節句の置物を販売するのですが、イベント期間中3,500円以上お買い上げの方には贈答用箱代を無料サービスされるそうです。また、開催初日は先着で愛媛県産の伊予柑のプレゼントがあったとか。

お雛様を手掛けるのは、青達窯、きよし窯、そして西岡工房。
『一般的な人形よりも扱いが簡単で長持ちしますし、場所も取りません。何より珍しくて可愛らしいので、大変人気です。3万5千円程度のものからご用意していますが、毎年おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんのためにと買っていかれるケースが多いですね。』

今年は三越でも販売されているそうなんですが、実はここ山椒房から卸しているんですって!ちなみに一ヶ所の窯元さんのものだけで、種類も大小2タイプのみ。3種類の窯元さんの作品から選ぶなら、やっぱり山椒房です。ただ、出来上がり次第納品されるので、同時にすべての作品が揃っているわけではありません。

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↑ かなり人気だそうで、並べるとすぐに売れてしまうため3月まで持つかどうか・・・といった状況だとか。

貝殻亭
製作期間2〜3年という、超レアな置物がイベント期間中に展示されているんです。
青達窯さんと青芳窯さんが手掛ける一品物で、アンコウやカメレオン、ふくろうなどがモチーフとされています。手のひらサイズくらいかと思いきや、想像以上にサイズが大きくてビックリ!

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中央のテーブルで異彩を放つ各作品は、砥部焼ファンなら必見!というくらい、普段は目にすることが出来ない代物だとか。ちなみに、展示品は非売品とはありますが、ご所望の方は予約することもできるそう。
もちろん、すぐには手に入りませんので、完成まで2〜3年お待ちを・・・。

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置物だけではなく、イベント期間中はお料理でも金銀華やかなモダンデザインが目を惹く窯元“西岡工房”さんの器を魚料理に用いた期間限定特別コース料理がご用意されているそうです。

清祥庵
ゆず茶のウェルカムドリンクを、砥部焼きのカップでご提供中です。

そうそう、山椒房の奥にある通路を抜けると、そのまま清祥庵へ行き来することが出来るんです。途中には、まだこの周辺が賑やかになる前の貝殻亭の風景画などが飾られています。

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↑ 途中の扉に注目!まさか、これも砥部焼き??

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↑ 通路を抜けた先で、店先に売られていたフォークやスプーンを使ってのお庭のアクセントを発見!

ソレイユ
2階のカフェでは、砥部焼きの器に抹茶&ホワイトチョコのムースに抹茶スポンジや黒豆などをあしらったスイーツが頂ける限定デザートセットが販売されていました(2/11で終了)。
また、砥部を代表する女性陶芸師“青達窯(せいたつがま)”“きよし窯”の作品も2/15まで展示されています。

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↑ どちらも女性ならではの感性が光る器です。

ちなみに、こちらの2階カフェで普段提供されているティーカップなども、実は“きよし窯”さんに特注したものなんですって。和風にしか仕上がらないのかと思える焼き物ですが、イチゴや洋風の草花などをモチーフに描いた鮮やかな柄で、一見和食器には見えません!

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↑ 特注だから、山椒房でも同じものが手に入らないのは残念。(似たような洋風チックなコーヒーカップのセットは発見しました!)

以上のようなイベント企画だそうですが、終了後も各店舗で砥部焼きの器に出会える機会はありますので、何気なく手にしていたレストランの食器なども、ぜひ気にかけてみては?
⇒2010関東 砥部焼祭りin貝殻亭リゾート 詳細情報はこちら

●陶磁器の店 山椒房(さんしょうぼう) 047-484-9638
千葉県八千代市勝田台北2-4-5(地図)京成本線勝田台駅北口から徒歩5分、東葉高速線東葉勝田台駅T-1出口から徒歩4分
【営業時間】10:00〜18:00
【定休日】火曜日
【駐車場】有り
【カード払い】可・1万円〜
【ホームページ】http://www.gpi-group.co.jp/sansyoubou/
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⇒2009年12月02日 地元八千代の頑張り企業!(株)GPIって?


posted by やちなび子 at 00:00 | Comment(0) |  >衣類・雑貨・食器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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